2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500750
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Research Institution | Osaka City Institute of Public Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
濱田 信夫 Osaka City Institute of Public Health and Environmental Sciences, 都市環境担当, 研究副主幹 (40270764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 仁一郎 大阪市立環境科学研究所, 微生物保健担当, 研究主任 (10321936)
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Keywords | 遺伝子 / 環境 / 菌類 / 進化 |
Research Abstract |
浴室や洗濯機の内部では、室内塵や室内さらには野外の浮遊菌などと異なったユニークなカビが多く見られる。代表者らはこれまで、Exophiala, Scolecobasidium, Phoma, Cladophialophora, Phialophoraなどに注目してきた。本年度の研究で、これらのカビは、石鹸成分のみならず、合成洗剤の主成分のひとつである非イオン界面活性を栄養にすることができることを明らかにした。すなわち、石鹸成分は一般のカビでも栄養にするものが多いのに対して、合成洗剤のもうひとつの主成分である陰イオン系界面活性剤はいずれのカビも栄養にできなかった。しかし、非イオン界面活性剤を0.01%,0.05%,0.25%添加した培地上で、Scolecobasidiumなどは、Cladosporiumなどの一般カビと異なって生育することがわかった。比較すると、0.25%の場合にコロニーはより大きく、色はより濃かった。そして、添加量が少ないほど、大きさも色も減少した。とりわけScolecobasidiumなどのカビは、洗剤の使用濃度の約20倍に当たる0.25%の濃度の培地で生育することができることがわかった。次に、Scolecobasidium属の多くの種の株を材料にして、浴室等で採取された株と、野外の葉や土壌から採取された種の株とのリボゾームの遺伝的関係を調べた。その結果、いずれの浴室のカビも遺伝子的に非常に近かったが、野外から採取されたいずれの種とも異なっていた。一方、野外から採取された種の株について、界面活性剤の培地で培養を試みた。その結果、野外から得た種の株の中に、生育するものが見つかった。野外の界面活性剤を利用できる特性を元来持っていた株が、浴室などの新しい環境を得て、繁殖しているのが浴室のカビと考えるようになった。
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Research Products
(3 results)