2010 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下過程の生体計測による嚥下補助食品の添加・調製法の検討とその指標の提案
Project/Area Number |
21500762
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
今井 悦子 聖徳大学, 人間栄養学部, 教授 (80157974)
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Keywords | 嚥下 / 嚥下補助食品 / 官能評価 / 筋電図 |
Research Abstract |
前年度の研究である高齢者施設への質問紙調査により、いくつかの問題点が明らかになった。それを受け、以下の2点について研究を行った。 1.咀嚼を要しない食品を用いて嚥下過程の主観的測定(官能評価)、客観的測定(物性測定)及び生体計測(咽頭部における表面筋筋電図測定)の関係を検討した。試料は目開き径2mmの篩を通した9種類の食品ととろみ液3種類とした。被験者のオトガイ舌骨筋に表面電極を張りつけて試料を嚥下させ、筋電図測定と7段階尺度の官能評価を同時に行った。物性測定ではかたさ応力及び付着性を求めた。その結果、筋電図測定では、嚥下筋活動量、最大振幅、嚥下時間に試料間で有意差は見られなかった。官能評価では、嚥下量が多く、残留感があり、飲み込みにくいと評価されたのはおかゆ類で、ゼリー類、ヨーグルト類などはその逆に評価された。前者の試料類はかたさ応力及び付着性が大きく、後者は小さい傾向があった。以上により、官能的に異なると識別できる試料において、物性的にはそれを裏付けることができるが、嚥下筋の筋電図測定では差がなかったことから、嚥下過程の解明のためには嚥下筋の表面筋電図測定は利用性が低いことが分かった。 2.嚥下補助食品を指示通りの濃度で調製したとろみ液が、対応する例示食品の物性と一致するかどうか検討した。高齢者施設で利用の多かった13種類の嚥下補助食品を用い、各濃度のとろみ液を調製し、それと対応する例示市販食品とともに粘性特性(降伏値、流動性指数、粘性定数)及びテクスチャー測定(かたさ応力、凝集性、付着性)を行い、主成分分析を行うことにより両者の近似性を検討した。その結果、嚥下補助食品とそれに対応する例示市販食品の近似性は、一部近似していると考えられたものもあったが、多くはそう考えられなかった。嚥下補助食品に、濃度とともに書かれている市販食品の例は、より正確な例になっていない可能性が示唆された。
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