2011 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下過程の生体計測による嚥下補助食品の添加・調製法の検討とその指標の提案
Project/Area Number |
21500762
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
今井 悦子 聖徳大学, 人間栄養学部, 教授 (80157974)
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Keywords | 嚥下 / 嚥下補助食品 / 筋電図 / 超音波エコー |
Research Abstract |
嚥下過程の測定法として咽頭部の超音波エコーの測定を行うことにより、物性的に差の明らかな食品を識別出来るかどうか検討した。その際、咀嚼活動と嚥下過程の関係も検討した。 市販の7食品を試料とし、咀嚼の必要のないウーロン茶、嚥下補助食品を用いたとろみ液も対象として用いた。試料の物性は、歪率30%と70%のときの硬さ及び凝集性で評価した。筋電位測定及び超音波エコーは、咀嚼・嚥下に問題のない20代の女性2人を被験者とし、咬筋に表面電極を貼り付け咀嚼筋活動量等を測定し、同時に超音波画像診断装置を用いて咽頭部を通過する食塊の最大流速等を測定した。 物性測定の結果から、試料は、硬さも凝集性も大~小まであり、凝集性と硬さは関係がなく、つまりさまざまな物理的特徴をもつ試料であることが確認された。それらの物性値と咀嚼特性値の関係は、硬さと咀嚼筋活動量及び咬合力が相関があり、凝集性と咀嚼時間及び咀嚼回数がやや傾向が近似していた。一方、噛みしめ時間及び一噛み時間は物性値との関係が見られなかった。咀嚼経過に伴う各咀嚼特性値の変化を見ると、咀嚼筋活動量、咬合力及び噛みしめ時間は有意に小さくなる傾向があった。すなわちそれは、咀嚼が進むにつれて食品が破壊されてそれらの値が明らかに小さくなっていくことを示していた。咀嚼しながら行われる嚥下は、試料によって1~3回であり、最大流速は1回目より2回目、さらに3回目の方が小さくなる傾向があった。最大流速は、ウーロン茶が有意に大きく、他の試料は有意差がなかった。 以上より、食品の咀嚼特性は、食品の硬さなどの物性に影響を受けるものの、その物性の違いは咀嚼活動によって最終的には相殺され、食塊が咽頭を通過するときはもとの物性の違いが表れにくくなっている可能性が考えられた。しかし、実際に誤嚥が起こり、誤嚥しやすい食品としにくい食品があることから、さまざまな食品についてさらなる検討をする必要があると考える。
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