2010 Fiscal Year Annual Research Report
精白米の浸漬による低アレルゲン化とその消化性-加工・調理への応用-
Project/Area Number |
21500767
|
Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
和泉 秀彦 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 教授 (80351211)
|
Keywords | 精白米 / 浸漬 / 低アレルゲン化 / アレルゲン / 消化性 |
Research Abstract |
平成21年度の研究で、酸性溶液浸漬により14-16kDaアレルゲンが低減化されることが明らかになっている。そこで、平成22年度は、酸性溶液浸漬後炊飯して作製した低アレルゲン米の消化性について解析し、米アレルギー患者が摂取可能かどうか検討した。 精白米をpH3,4,5,6に調整した0.1M酢酸緩衝溶液に50℃で18時間浸漬後炊飯し、低アレルゲン米を作製した。作製した低アレルゲン米を潰し、そこに含まれるタンパク質とペプシンおよびパンクレアチンを37℃でそれぞれ10分間および30分間反応させた。それぞれ酵素処理後の14-16kDaアレルゲンをイムノブロット法で解析した。次に、作製した低アレルゲン米を、マウスに胃内投与し、10分後に胃および小腸の内容物を回収した。回収した溶液中の14-16kDaアレルゲンをイムノブロット法で解析した。 ペプシン処理では、作製した低アレルゲン米中の14-16kDaアレルゲンは、酢酸緩衝溶液すべてのpHの試料において検出されず、ペプシンにより完全に分解されたと考えられる。また、パンクレアチン処理では、すべての試料においてアレルゲンは減少しており、パンクレアチンにより分解されたと考えられる。次に、マウスを用いた消化性の解析結果から、水およびpH6の溶液で浸漬し、炊飯した試料中のアレルゲンは、胃内投与後、未分解の状態で胃に存在し、小腸上部にも未分解の状態で移行していた。これに対し、pH3の溶液で浸漬し、炊飯した試料中のアレルゲンは胃内投与後、消化管内で検出されなかった。以上の結果より、浸漬した酢酸緩衝溶液のpHが低いほど、アレルゲンの消化性が高まることが明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)