客観的指標を用いた中学生に対する食育介入評価と食育ツールの有用性の検証

2010 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 21500804
• Research Institution: Kinki University
• Principal Investigator: 郡 俊之 近畿大学, 農学部, 講師 (80440999)
• Keywords: 食育 / 介入 / 食育媒体 / 中学生 / 客観的指標

Research Abstract

本研究は、中学1年生に対する食育介入であり、中学生とその親で共有できる食育モデルを新規に開発すること、および客観的指標によりその効果を評価することが目的である。昨年度は、食育非介入群における実態調査I(6月)および同一項目の調査II(10月末)を実施した。本年度は、食育介入群(平成22年度A中学1年生、117名)を対象に、昨年度と同一項員の介入前調査(6月)を実施し、その後、10月までに弁当などをテーマにした食育授業(45分)を5回行った。そして介入直後調査(11月)を実施して介入前後での変化を検証した。
【これまでの結果】
1. 給食喫食調査:非介入群と同一献立の給食について、喫食前後に食缶の重量を計測し、喫食率を料理ごとに2日間測定した。また、学級担任の観察による喫食率評価も実施した。非介入群では、副菜の喫食率が、実態調査I(81.6%)よりII(71.2%)で低下していたが、介入群では、介入前(81.3%)より介入直後(88.7%)で喫食率の改善が見られた。学級担任の観察による給食の個人別評価でも非介入群では副菜の喫食率が実態調査IIで有意に低下したが、介入群では介入直後調査において副菜の喫食率が有意に改善した。
2. デジカメを用いた親の手作り弁当の評価:A中学校で月に1度のお弁当持参の日を利用して生徒が持参した弁当の写真を撮り、弁当の画像から主食:主菜:副菜の表面積比を算出した。理想とする主食:主菜:副菜=3:1:2からの誤差が±30%以内の者の割合は、非介入群では実態調査I(12%)よりII(3%)で減少していたが、介入群では介入直後(16%)で改善が見られた。さらに非介入群の弁当の栄養素解析では、ビタミン類、食物繊維などが実態調査IIで有意に減少したが、介入群では介入直後でそれら栄養素の改善が見られた。
3. 唾液中S-IgA濃度測定:非介入群の唾液中S-IgA濃度は実態調査IとIIで有意な差はないが減少傾向であった。現在介入群の唾液中S-IgA濃度を計測中である。
以上より、親子が関与する弁当をテーマにした食育介入が給食の副菜(野菜)の摂取量増加、弁当の栄養バランスの改善に有効であることが客観的指標により示唆された。今後、この食育効果の継続性について客観的に検証する。