2009 Fiscal Year Annual Research Report
流星の質量を求める実習用可搬型流星電波観測教材の開発
Project/Area Number |
21500828
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 英人 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 技術職員 (30376553)
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Keywords | 流星電波観測 / 多地点電波観測 / 前方散乱レーダー / 自然科学教育 / GPS / 超高層大気 / 実習教材 / フィールドワーク |
Research Abstract |
本研究は、送信点と異なる場所に多数の受信点を配置し(多地点観測法)、流星が流れたときその飛跡に沿って生じるプラズマに反射した電波(以下流星エコーと呼ぶ)を、多地点で受信してその到達時間差と送信点-電波反射点-受信点の距離(測距)より流星の正確な飛跡を求め、流星の質量を求める教材の開発を目的としている。 本年度は距離を求める方法の開発に重点を置いた。測距にふさわしい送信電波の変調方法を様々に検討した結果、FMCW(Frequency-Modulated Continuous Wave)方式を採用した。そこで、この変調波を送信する変調機の作製、受信機の整備、200KHzで正確にサンプリングできるA/Dコンバータの開発を行い、総務省からの免許取得後、実際に測距実験を行った。既知の距離約61Km間の実験結果は約61.5Kmと得られ、誤差0.5Kmで求まることがわかった。次に実際に2009年12月のふたご群と2010年1月のしぶんぎ群で測距実験を行った。その結果、送信点-電波反射点-受信点の距離を求めることに成功した。一方で、各観測点での到達時間差より流星の三次元ベクトルと速度を求め、多地点観測法は空のどの領域に飛んだ流星を捉らえているのか観測で確かめてみた。使用する周波数を4波、受信地点を9ヵ所設置して観測に望んだ。長野県から発射されている3つの周波数の電波を東京近郊の9ヶ所で受信し、さらに福井県から発射されている電波もその中の3ヶ所で受信し、実効30地点の観測網を実現した。観測は2009年7月下旬から8月上旬のみずがめ座6流星群を目標に観測を行い、送信点群-受信点群を結ぶ方向が最も良く流星を捉えていることがわかった。バイスタティック・レーダーの一種である前方散乱レーダーの原理と矛盾しない結果である。さらに大規模なレーダー施設である京都大学のMUレーダーを用い、流星体自身が発生する微弱なプラズマからのエコー(ヘッドエコー)を観測し、正確な飛跡を求めることを試みた。そのため干渉計の補正法の検討を行い、補正ソフトを開発した。 開発した教材のうち3KHzサンプリングのものは、東京大学教養学部の実習授業に取り上げられ、有効に教育的効果を発揮した。また、東海大学理学部や甲南大学にこの教材の普及活動を行った。さらに、国民向け(とりわけ若年層)には福島県鮫川村立鹿角平天文台の一般公開日に実演し、訪台者の関心を惹いた。 上記の成果は、関連する学会・研究会で発表を行った。開発した観測方法は大気中で起こる短時間現象の検出にも応用でき、宇宙線観測への適用を試みた例も発表した。
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Research Products
(8 results)