2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500979
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
大野 誠 Aichi Prefectural University, 外国語学部, 教授 (60233227)
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Keywords | ニュートンの『光学』 / 錬金術 / ニュートンの手稿 |
Research Abstract |
本研究の課題は、ニュートン錬金術に関するこれまでの研究成果を継承・発展させることを目指して、ニュートンの第二の主著である『光学』(1704年)と錬金術の関係を解明することにある。この課題のもと、本年度の研究で目標としたのは、ニュートン手稿のマイクロフィルムを利用して、ニュートンの錬金術研究が最高潮に達したと考えられている1690年代前半の様子を明らかにすることである。このために、まずは本年度の研究費すべてを投じて、ニュートン錬金術の研究に不可欠なニュートン手稿のマイクロフィルム全42巻を購入し、ドブズやウェストフォールの研究成果を基礎としながら、1690年代の錬金術手稿史料を洗い出すことにした。実験ノートには時期が記載されているため、この洗い出し作業は比較的スムースに行うことができたが、これ以外の手稿では記載された時期の決定がかなり困難であることがわかった。ドブズは文字の大小を判断基準の一つとしたが、実物の史料ではなく、マイクロフィルムを利用するかぎり、そこでは文字がすでに拡大されているため、ドブズの判断基準が使えないのである。(したがって、実物を是非とも閲覧しておかねばならない。)こうして、現時点ではニュートンのオリジナルな錬金術手稿を確定することも断念した。とはいえ、実験ノートの一部はもちろんのこと、化学用語索引の最終版は使われた文献の出版年代から考えて1690年代前半に書かれたことは確実で、今後はこれらを基礎として、内容の分析から手稿の年代を推定する作業を進めたい。なお、ニュートン錬金術手稿の研究状況については、2010年7月の化学史学会で報告する。
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