2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500979
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
大野 誠 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (60233227)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ニュートンの『光学』 / ニュートンの錬金術 / ニュートン手稿ADD.3975 |
Research Abstract |
ニュートン自身の錬金術実験が記録されているとされる、ニュートン手稿史料のポーツマス・コレクション中のADD.3975を検討した。この史料は「ニュートンの実験ノート」として広く知られているもので、執筆時期は1669年から1693年までである。当初の研究計画では先行研究によってニュートンの錬金術研究が最高潮に達したとされる1690年代に焦点を合わせて、この史料に記載されている実験の内容を分析するつもりであった。しかし、実際にこの史料を検討してみると、先行研究から予想されるよりもはるかに複雑な性格を持つことが以下のように判明したため、当初の計画を大幅に変更せざるを得なくなった。第一に、この史料は「実験ノート」というよりは「備忘録」というべきものである。たとえば、この史料は宝石の色と硬さを扱った論文の抜書きから始まり、次に「色彩について」と題されたプリズムを用いた実験の記録がある。この後、「冷と熱について」、「冷と凍結について」などと題して、20枚以上にわたってロバート・ボイルの複数の著作からの抜書きが続く。ニュートン錬金術研究の第一人者ドッブズによると、この直後からニュートン自身の実験記録が現れる。実験の記述が定量的になったとの判断からである。しかし、実験の定量性は他の錬金術師にも見られるという別の研究者の指摘があるし、出典を示さずに抜書きされることもありうるので、どの実験がニュートン自身によるものかを慎重に判断する必要がある。第二に、ノートの執筆時期についてもノートの頁順というわけにはいかない。というのも、当初、何かを記載するつもりで空白として残しておいた頁に後で別のことが書き込まれた箇所があるからである。空白頁は他にもあるため、執筆時期についても再検討すべきである。 今後の課題としては、ニュートンを錬金術研究へといざなったボイルの影響力を見極めることが何よりも重要である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)