2011 Fiscal Year Annual Research Report
ライフサイエンス創成期における日本の生命倫理思想の歴史的研究
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21500980
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
林 真理 工学院大学, 工学部, 教授 (70293082)
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Keywords | 生命倫理 / 倫理学 |
Research Abstract |
現在でも広く論じられているような種類の、生命倫理に関わる問題にうちのいくつかは、既に1970年代から発生しており、それについて様々な議論とともに様々な運動・活動があった。たとえば、組み換えDNA技術による生命捜査の題、尊厳死・安楽死といった言葉で示される人間の死の問題、体外受精や羊水検査を中心とする人間の生の問題などが、中心的な話題とされていた。これらの議論や論争の中から重要なものを選んで、それを再現し読み返していくことによって、現代の生命倫理問題に関して、何らかの示唆を得ようというのが本研究の目的である。 結果として、いくつかの重要な示唆を得ることができた。特に、「偶然性」「他者性」「有限性」「固有性」「関係性」という概念を着目すべきものとして抽出した。 本年度は、こういった考え方が、その後のいわゆる生命倫理を巡る論争の中で、どのように扱われ、どのようにんじられてきたかということを考察した。具体的な場面としては、ヒト胚の研究に関する議論、体外受精技術に伴って生じてきた「余剰胚」に関する議論、出生前診断(羊水検査および母体血清マーカー検査)に関する議論をとりあげて考察を行った。 このようにして、生命倫理に関するこれまでの議論においては見逃されてきた視点を拾い上げることを行った。生命倫理の歴史、あるいは生命観・生命科学技術の歴史を見ていくことが、実際の生命倫理問題を巡る論争において重要な役割を果たすことをまとまって示す準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで調査、考察してきたことについて、実際にとりまとめを行う段階に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまで調査してきたことについて、一旦収集をつけて、まとめの記述を行う。研究計画の変更や問題点はない。
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Research Products
(1 results)