2009 Fiscal Year Annual Research Report
文化財の被災履歴データベースによる脆弱性評価と保存計画策定への活用に関する研究
Project/Area Number |
21500992
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Research Institution | National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
二神 葉子 National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo, 文化遺産国際協力センター, 主任研究員 (10321556)
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Keywords | 文化財・文化遺産 / 防災 / GIS / データベース / 保存計画 |
Research Abstract |
海外の文化財データベースに関する事例調査 イタリアのローマおよびパレルモの文化財保護に携わる機関を訪れ、文化財GISデータベースおよびハザードマップとの連携、その活用に関する聞き取り調査を行った。 ローマに所在する保存修復高等研究所は、文化財の保存修復を行う国立の機関であるが、1990年代の初めから20年近くにわたり、文化財GISデータベースとハザードマップとを融合した「文化財危険地図」の構築を全国規模で実施している。この研究所で作成した文化遺産建造物の脆弱性の評価に関する資料を収集するとともに、今後のこの分野での協力関係の構築について話し合った。 シチリアはイタリアの中でも独立意識が強い地域であり、また行政的にも比較的強い自治権を有していること、さらに火山噴火や地震、地滑りなど自然災害が多発する地域であることから、文化財防災についても独自のシステムを構築している。パレルモの設計修復地域センターは、シチリア地域に関して、中央の文化財危険地図のデータを利用しながら、より詳細な地域に密着したデータベースを構築している。たとえば、個別の文化財建造物自体については窓や扉等の開口部の大きさや位置の情報から脆弱性の評価を実施し、さらに、博物館・美術館など文化財の収蔵施設にあっては、周囲の道路の幅の情報とあわせて、火災などの際の搬出方法の検討に用いるなど、実際の文化財防災に活用されている。このシチリア独自の文化財危険地図についてハードウェアやスタッフなど構築の体制、データベースの属性情報やデータの活用方法について情報を収集した。
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Research Products
(3 results)