Research Abstract |
平成21年度は,鳥取砂丘で斜面に発達する風紋の形態特性を徹底的に調べた。8月~12月にかけて312地点でアクリル板を砂面に差し込み風紋の断面形態を書き写す方法で,計684個の風紋縦断面形を得た。同時に「斜而傾斜角」と「風紋の進行傾斜角」も計測した。その結果,まず風紋の登坂降坂限界傾斜角に関しては2008年の予備調査と同一の結果が得られた。つまり,登坂において風紋の進行傾斜角の最大値は+24。であり,降坂の限界傾斜角は-17°であった。さらに,9月までの調査結果では24度以上の急斜面において,登坂の進行限界傾斜角は5~7度で限界を示した。この原因は不明であるが,2008年の計測結果も同様であった。次に風紋の進行傾斜角と断面形態に関して詳細に解析した結果,i)風紋は進行傾斜角が-17°~-9°,-9°~0°の降坂斜面,0°~15°,15°~24°の登坂斜面で,それぞれ異なる断面形態を示した。ii)半数近くの風紋の断面形には,3つの傾斜変換点が認められ,風上1,風上2,風下1,風下2に4区分される。iii)進行傾斜角が降坂から登坂へと大きくなるにしたがって,風紋の平均波長は7cmから11cmへと増大する。その大半は風上1区間の増加による。iv)限界傾斜角付近の風紋構成斜面の絶対角度は,降坂・登坂ともに約32°となる。これは砂丘砂の安息角に相当する。つまり風紋は限界傾斜角に近づくと,その斜面角度が安息角に到達し,限界傾斜角以上では斜面が不安定となり維持できず消滅していると推察される。平成21年度にはSharp(1963)などによって風紋の研究が盛んにされたKelso Dunesを訪ね,ペディメント地域に忽然と現われる比高200mにおよぶ巨大な砂丘を歩いた。砂丘列の斜面は確かに7度であったが,予想に反して縦列砂丘であることが判明した。7度の斜面には傾斜方向にクレストをもつ横列の小亀砂丘列がいくつも形成されていた。
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