Research Abstract |
大縮尺地形図の読図・計測により,横列砂丘風上側斜面の傾斜角頻度分布を求めた。調査対象地域は,鳥取砂丘(鳥取),庄内砂丘(山形),大原砂丘(久米島,沖縄),アメリカ合衆国Great Sand Dunes (CO), Kelso Dunes (CA), Imperial Sand Dunes (CA)の6箇所であった。その結果,横列砂丘風上側斜面の傾斜角は4度~10度が多く出現し,7度前後にモードがあることが明らかになった。 2次元断面風洞(幅9cm,深さ70cm,長さ210cm)実験装置を自作し,片側面をアクリル板にすることで,模擬砂丘列の断面変形を観察できるようにした。中央粒径0.2mmの豊浦標準砂を用いて砂丘列を風洞内につくり,風速を約7.0m/sとして,無給砂で実験を行った。砂丘列の初期形態として,風下側斜面の傾斜角は32度とし,風上側斜面を32度,24度,16度,8度の4Caseに変えた。各Caseで,5分~20分ごとに実験を中断し,通算70分~110分間の砂丘列断面形態の変化を計測した。 その実験の結果,32度のCaseでは砂丘列がふたつの列に変形し,時間と共に低平化した。24度・16度のCaseでは,砂丘列は風食を受けながら一旦低下し,その後砂丘列稜線の下流上方への成長が認められ,断面形態は直線的な風上側斜面(傾斜角4度~9度)を示した。8度のCaseでは風上側斜面の上流部と頭頂部が風食を受け,上に凸の曲線を示した。横列砂丘の風上側斜面は7度を示すものが最も卓越するが,この傾斜角では砂丘列の風下側に飛砂が効率的に堆積する流体場が生まれ,砂丘列が高さを増すと考えられる。傾斜可変型風洞において風洞の傾斜角を降りの-14°,-7°,水平の0°,登りの7°,14°,21°に調整し,傾斜角ごとに一定の風速で20分間の実験を実施して,形成された風紋の波長を調べた。その結果,-14度で6cmほどの波長は傾斜とともに長くなり,+14度では12cmほどになった。これは野外の観察結果と一致した。
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