2011 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素との蛍光反応を用いた海面・陸面からの硫化ジメチルフラックスの測定
Project/Area Number |
21510012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
永尾 一平 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教 (00252297)
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Keywords | 硫化ジメチル / 大気への放出過程 / 渦相関法 / 生物起源硫黄化合物 |
Research Abstract |
本研究計画は、フッ素との蛍光反応を利用して硫化ジメチル(DMS)の濃度変動を0,1秒の時間スケールで測定するとともに、3次元超音波風速温度計により同じ時間スケールで鉛直風速を測定する。これら2つのパラメータの時系列から渦相関法により、鉛直方向のフラックスを解析するものである。 最終年度である平成23年度は、これまでの2年間の海洋上での観測結果から明らかとなった検出限界の改善を平成22年度から継続して行った。これは、海洋上に比べてさらにDMS濃度が一般的に低いと予想される陸上(森林など)での測定に備えるためである。 改善を試みた点は、反応セル内で発生するノイズの軽減と、反応セル内の発光を通す窓の材質の検討である。前者は、セル内面の仕上げを電解研磨を経て金メッキ処理を行った。後者は、フッ素を使用するため腐食に強いフッ化カルシウムを用いた。これらの対策によりノイズの軽減と、窓の劣化による感度低下を前年度からさらに約10%程度向上できたと見積もることができた。また、流量の最適化なども試みた。 これらの改善による検出限界は、S/N比~2の場合で約200pptvにまで下げることができた。しかし、従来の水素炎炎光光度計付ガスクロマトグラフィーで測定した陸上(名大構内の森林の近傍)における濃度レベルはこの検出限界よりも1ケタ以上低く、鉛直フラックスの解析に資する十分なデータを取得できなかった。 以上の結果から、本研究計画の目的の一つである陸上におけるDMSの鉛直フラックス測定は達成できなかったが、この研究助成を受けて新たな測定手法の試みを海洋上だけでなく、陸上において試みたことにより、今後の測定手法開発とその改善に向けた様々な情報を得ることができた。
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Research Products
(1 results)