2011 Fiscal Year Annual Research Report
動物園動物の飼育環境エンリッチメントの評価法の策定
Project/Area Number |
21510042
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
武田 庄平 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (40222096)
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Keywords | 実験系心理学 / 行動学 / 応用動物 / 動物 / 飼育環境エンリッチメント |
Research Abstract |
動物園が有する4つの社会的機能((1)娯楽、(2)環境教育・自然教育、(3)種の保全、(4)研究)を達成させるために必要なことは、動物園で飼育されている動物が本来的な行動パターンの発現を保証されて活き活きと生活できる動物福祉が達成された生活環境で暮らしている場面を来園者に展示することである。そのための施策としての環境エンリッチメントの実施の効果を評定するために、動物園の飼育の現場の人間が、特別な訓練を必要とせずかつ日常業務の合間に簡便に行える評価方法を策定することを目指して、本年度は以下のような実験を行った。実験を実施したのは、川崎市夢見ヶ崎動物公園(神奈川県川崎市幸区南加瀬1-2-1)および仙台市八木山動物公園(宮城県仙台市太白区八木山本町1-43)の2動物園であった。夢見ヶ崎動物公園ではフサオマキザル集団の物理的飼育環境を変動させ、与えられた物理的環境の利用の仕方から物理的環境の持つ機能を探る実験・観察を行った結果、縦方向のみの環境は単純な移動にしか機能していなかったが、横方向の環境は休息等の滞在場所としての機能を有し、両者の組み合わせによる環境の複雑化が環境エンリッチメントとしての機能を有することが示された。八木山動物公園では、チンパンジーの飼育施設の構造を複雑化・三次元化させ、採食環境も変化させることで、狭い空間であっても個体間の距離の拡大がみられ、個体ごとの利用空間のすみ分けもみられた。またいわゆる異常行動とされる常同行動の減少傾向が示された。これら結果に基づいて、飼育環境を変容させた際に、注目すべき行動特性について整理し、動物園の飼育員が環境エンリッチメントに関わる実験の計画、実施、観察記録を自ら行うことを実施し、その成果の取りまとめを行った。
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Research Products
(9 results)