2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21510043
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
吉田 央 Tokyo University of Agriculture and Technology, 共生科学技術研究院, 講師 (40251590)
|
Keywords | 流域社会システム / 流域 / 水質保全 / 水資源開発 / 土地利用規制 / 水利用負担金 / ダム問題 / 親環境農業 |
Research Abstract |
本年度は、日本と韓国の流域社会システムについて基礎的な研究を行った。まず、流域社会システムの概念について検討し、上流(森林・中山間地)から下流(平地・都市)に至る一連の空間の中で、流域社会にかかわる諸法制および関連行政機関を列挙し、それぞれの機能を調査した。韓国については、流域社会システムにおいて土地利用規制が果たしている役割が大きいので、韓国の土地利用規制関係について情報を集約した。また、韓国では上流に対する厳しい土地利用規制の代償として、下流の負担によって上流へのさまざまな支援を行う制度が存在しているが、漢江についてこの制度の実態調査を行った。あわせて韓国の水源地域では、経済振興と水質保全を両立させることを目指して親環境型農業が推進されているが、その実態についても現地調査を行った。これらの諸調査より、上流と下流の公平な負担による水質保全という理念に基づく政策的努力がなされているものの、資金の使われ方が非効率的であるなど、さまざまな問題点も抱えていることが明らかになった。また韓国のこのような土地利用規制中心の水質管理方式は、日本による支配時代に始まっていることを見出した。これらの研究をまとめて業績[1]として発表した。日本においては、これまでの研究に引き続いて、水資源開発をめぐる諸紛争の事例の調査を行った。またそれに関連して水道・下水道事業め経営問題について情報収集を行った。 研究期間終了後にこの研究の課題である流域社会システムの日韓比較に関する出版を予定しており、その目次案の検討等、出版の準備も開始した。 [1]「韓国における流域管理政策」李秀徹編『東アジアの環境賦課金制度』昭和堂、2010年2月
|