2009 Fiscal Year Annual Research Report
居住選好特性に着目したコンパクトシティ誘導手段とその評価に関する研究
Project/Area Number |
21510051
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
島田 幸司 Ritsumeikan University, 経済学部, 教授 (70367986)
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Keywords | 低炭素社会 / 機能集約型都市 / 交通需要 / 居住選好 |
Research Abstract |
平成21年度は,まず滋賀県全体を対象とした低炭素社会に関するバックキャスティング研究の成果を題材に,中長期的にみてどのような政策転換が地域の交通部門や土地住宅部門において求められるのかを検討した。その研究の成果をまとめると,次のとおりである。 1)地域社会で長期的に旅客自動車交通需要を大幅に削減するためには,自動車分担率と自動車トリップ長の両方を削減する必要があり,そのためには,可住地人口密度を高めることに加え,自市町村での通勤比率を維持・向上していくこと(企業の安定立地・誘致)も重要である。 2)現実に,滋賀ではDID人口が2000年~2005年の5年間で2割増加している市もあり,思い切った政策誘導によりこのような人口密度目標を設定することは理不尽ではない。 3)人口に占めるDID人口割合が高く自動車に依存しない市ほど住宅地地価は高く,資産としての魅力を維持しうるポテンシャルが高い。 4)高密度地域や集合住宅の居住者は,住宅の広さや自然へのふれあい面で不満をもっており,自然環境へのアクセスを充実させながら,一定の広さと質を確保した集合住宅を整備・誘導して人口を集積することは,温室効果ガス排出削減面のみならず税収面でも有効な政策となる。 5)ガソリン消費に対する価格弾性値は全国では-0.43に対し滋賀では-0.91と高く,地域によっては自動車燃料税制の見直しにより大幅な燃料消費削減が見込める。
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