2011 Fiscal Year Annual Research Report
ウランの体内挙動と毒性影響の解析 ~ナノビームを用いた細胞選択的検出~
Project/Area Number |
21510059
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
武田 志乃 独立行政法人放射線医学総合研究所, 放射線防護研究センター, 主任研究員 (00272203)
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Keywords | ウラン / 毒性影響 / ナノビーム |
Research Abstract |
近年、劣化ウラン弾汚染や世界的に原子力エネルギーが注目される情勢、それに伴う原子力資源獲得競争による環境負荷の懸念などを背景に、ウランの毒性影響に関心がもたれている。ウランは放射線毒性のみならず化学毒性を有するが、ウランの組織局在性と組織障害との関係は十分に理解されておらず、ウランの生体影響評価に資する科学的根拠は乏しい。本研究では、ナノビームを用いた新たなウラン測定手法を確立し、これを用いてウラン蓄積と毒性発現の量-反応関係を細胞レベルで明らかにすることを目的とする。 本年度は、これまでに確立した微小ビームを用いた局所定量手法を用い、ウラン標的部位である腎臓下流部位近位尿細管におけるウラン挙動と組織影響との関係を調べた。 ラットに酢酸ウランを投与(0.5mg/kg)すると、3日後腎臓下流部位近位尿細管にはアポトーティック細胞が出現し、8日後にかけて増加した。また8日後には上皮細胞の脱落した下流部位近位尿細管が散在した。15日後には下流部位近位尿細管が多く分布する腎皮質内辺部および髄質外辺部に再生尿細管が認められた。ウランの濃集部位の近位尿細管上皮におけるウラン局在量の経時変化を解析したところ、投与後15日目では投与3日目の約20%程度に減衰した。この15日目の近位尿細管におけるウラン残存濃度は、投与後3日目の腎臓の平均ウラン濃度の10倍、15日目の40倍程度に相当した。 これらの結果から、ウラン急性腎毒性における尿細管回復期において、標的部位には相当量のウランが残存しており、さらに経日的にこの残存ウランの影響を検討する必要であると考えられた。
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Research Products
(3 results)