2011 Fiscal Year Annual Research Report
構造柔軟性を持つ多孔性金属錯体の粉末法による結晶構造解析
Project/Area Number |
21510107
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
久保田 佳基 大阪府立大学, 理学系研究科, 准教授 (50254371)
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Keywords | ナノ材料 / 多孔性材料 / ガス吸着 / 放射光粉末回折 / 精密電子密度解析 |
Research Abstract |
多孔性金属錯体(PCP)はガス分子の種類に応じて細孔のサイズや形状の変化を伴いながら、ガス分子を吸着するため、高いガス吸着選択性を示し、ガス分子の高効率分離・濃縮機能を持つ材料として注目を集めている。本研究では、PCPの柔軟性ナノ細孔に、その構造変化を認識することができる"レポーター分子(ジスチリルベンゼン:DSB)"を導入した複合体を合成した。そして、この複合体の吸着メカニズムを明らかにするために、SPring-8の高輝度放射光X線を用いて粉末X線回折測定を行った。その結果、PCP-DSB複合体がCO_2を吸着する過程において、吸着量が増えるにつれて、細孔の形が菱形から正方形へと変化していくことが分かった。また、DSBの立体構造がPCPの構造変化と同調して"ひねり状"から"平面状"へと変化し、強い青色発光を示すようになることが分かった。すなわち、CO_2の吸着によってDSBのひねり度合いが変化することで、CO_2に対して明確に応答する蛍光センサーになることが分かった。また、CO_2と物理的性質が似ているアセチレンではDSBのひねり度合い・発光の違いが生じ、この二つのガスを厳密に識別することが可能になった。 この複合体のガス分子認識は、多孔性物質へのガスの物理吸着現象を利用しているので、蛍光色の変化はガス吸着後、数秒以内に起こり、数分以内で完了する。また、使用後はガスを除くことで、容易に再利用が可能なシステムになる。本研究で用いた材料は空気中から容易にCO_2を検出できるという点において環境や産業的に重要であるばかりでなく、ホスト(PCP)とゲスト(DSB)との構造・機能の同期変化という全く新しいガス検出メカニズムを示したことで、学問的にも大きな成果であるといえる。
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Research Products
(7 results)