2010 Fiscal Year Annual Research Report
N末端ドメイン欠失型コンドロモジュリン-1の構造決定と血管新生抑制活性
Project/Area Number |
21510224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
開 祐司 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (40144498)
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Keywords | コンドロモジュリン-I / 血管新生抑制因子 / 細胞外マトリックス / 蛋白質分解 / 結合組織 |
Research Abstract |
前年度までにラットやウシ胎仔軟骨抽出物から新たに14-15kDaに相当するChM-I分子種が検出されることを示した。さらに、ChM-I KOマウス肋軟骨抽出物を用いたWestern blotでは、いずれのバンドも検出できなかった。従って、この免疫反応性タンパク質はChM-Iに由来するものであることが示唆された。C-末端抗体との反応性を考慮すると、このタンパク質はN-末端を欠失したChM-I断片(交付申請書では15-kDa ChM-Iとしたが、15kDaマーカーより明らかに小さいので14-kDa ChM-Iと表記する)であると推定された。次に、ラット肋軟骨8M尿素抽出物からヒトChM-Iモノクローン抗体により免疫沈降を行い、免疫沈降物をSDS-PAGEにて分離後、ほぼ14-kDaに相当するタンパク質バンドを切り出した。抽出したタンパク質のN-末端アミノ酸配列(DEEPF)を決定し、これがN-末端から37番目までのアミノ酸残基を欠失したChM-I分子種であることが判明した。次にヒト組換えChM-I(rhChM-I)をV8プロテアーゼ消化して14-kDa rhChM-Iを調製して、その生物活性をintact ChM-Iと比較した。即ち、VEGF-A刺激により誘導されるヒト臍帯血静脈内皮細胞の遊走に対する阻害活性を指標に用量依存曲線を算出した。intact rhChM-I(ID50≠8nM)に対して14-kDa rhChM-Iは100nM以上の濃度でもわずかに細胞遊走阻害活性を示したのみだった。(その疎水性のために、さらに高濃度でのバイオアッセイは不能であった。)従って、ChM-IはN-末端部分の切断により、生物活性ドメインであるドメイン2は保持されているものの、不溶化により実質的に不活性化されることが明らかとなった。
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