2011 Fiscal Year Annual Research Report
N末端ドメイン欠失型コンドロモジュリン-1の構造決定と血管新生抑制活性
Project/Area Number |
21510224
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
開 祐司 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (40144498)
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Keywords | コンドロモジュリン-I / 血管新生抑制因子 / 細胞外マトリックス / 蛋白質分解 / 結合組織 |
Research Abstract |
軟骨由来血管新生抑制因子Chondromodulin-I (ChM-I)には、20-30kDaの成熟型ChM-I (25-kDa ChM-Iと表記)の他に、分子サイズが小さい14-kDa ChM-Iが検出された。そこで、ラット肋軟骨抽出物から免疫沈降により14-DaChM-I分子種を分離して、これがN-末端から37番目までのアミノ酸残基を欠失していることを明らかにした。そこで、ラットChM-IのN末端配列に対する抗ペプチド抗体(25-kDa ChM-I分子種のみを認識するN-末端抗体)と抗ChM-Iモノクローン抗体hCHM-5(25-kDaと14-kDa の両方の分子種を認識する)を用いて、ラット胎仔下肢骨原基を二重染色した。その結果、ChM-I mRNAを発現する軟骨性骨原基の静止軟骨細胞層から増殖軟骨細胞層を含む領域の細胞外マトリックス(ECM)は、いずれの抗体でも陽性だった。一方、肥大化・石灰化軟骨細胞層においてはΔN-末端抗体にのみ陽性で、N-末端抗体には陰性であった。また、ラット肋軟骨より分離した軟骨細胞を初代培養に移したところ、ChM-Iを発現する軟骨細胞はほぼ成熟型25-kDaChM-I分子種のみを培地中に分泌する事が判明した。このことは、静止層から増殖層に至る軟骨組織では成熟型25-kDaChM-Iが軟骨ECMに蓄積して軟骨組織の血管侵入障壁を構成しているのに対して、肥大化・石灰化軟骨層では14-kDa ChM-Iのみが軟骨ECMに存在している事が明らかになった。すでに前年度に14-kDa ChM-Iに血管新生抑制活性がほとんどない事を示したので、これらの結果は骨原基への血管侵入に先立ってマトリックス中に蓄積したChM-IのN-末端が切断除去される事によって、肥大化・石灰化軟骨層はあらかじめ血管侵入抵抗性を消失していることが推定された。
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