2009 Fiscal Year Annual Research Report
移入浮漂植物の拡大は水生生物群集にどのようなインパクトを与えるか
Project/Area Number |
21510245
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Research Institution | Kanazawa Seiryo University |
Principal Investigator |
永坂 正夫 Kanazawa Seiryo University, 人間科学部, 准教授 (10267718)
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Keywords | 外来植物 / チクゴスズメヒエ / 溶存酸素量 / 水生動物群集 |
Research Abstract |
河北潟(石川県)の湖岸には様々な生活型の植物群落が分布する。このうち,ヒメガマ,マコモ,ヒシ,チクゴスズメノヒエの各群落において,群落内の水生動物相調査と溶存酸素濃度測定を実施した。 チクゴスズメノヒエは湖岸において浮島状に生育し,南米の湿地帯に発達するFloating Meadowsのような群落を小規模ながら形成している。ホテイアオイやボタンウキクサ同様,チクゴスズメノヒエは亜~熱帯原産の移入種であり,一旦水域に広がると過密な群落を水面に形成する。このため,これらの植物の過繁茂は溶存酸素の低下を招き,周囲の水生動物相や魚類相などに大きなインパクトを与えることが予想されていた。 ヒメガマ,ヒシ群落では開水面から群落内部に向かって溶存酸素濃度は低下した。しかし浮島状に広がったチクゴスズメノヒエ群落内の溶存酸素濃度は,必ずしも開水面に比べて低くはなく,水面直下ではむしろ群落内の方が高く保たれている場合が観測された。例えば,10月の測定では,開水面表層の溶存酸素濃度が3.1mg 1^<-1>であったのに対し,群落内側2mの表層では5.5mg 1^<-1>にも達していた。ヨシをはじめとする抽水植物では,底泥の貧酸素環境に対応すべく通気組織を通じて根系に酸素供給を行っており,チクゴスズメノヒエの場合,その浮島状群落内において水中に懸垂した根系が周囲に酸素を供給している可能性が示唆される。 ヒメガマ群落,マコモ,ヒシ群落よりもチクゴスズメノヒエ群落において,群落内の水生動物相が多様かつ現存量が高い傾向があり,その理由として,群落内溶存酸素量が他の群落より高い状態で維持されていることが関連している可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)