2010 Fiscal Year Annual Research Report
インド商業集団(マールワーリー)の研究、グローバル経済と地域社会の結節点として
Project/Area Number |
21510279
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中谷 純江 鹿児島大学, 国際戦略本部, 准教授 (30530034)
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Keywords | 文化人類学 / ジェンダー / 表象 / 近代ヒンディー文学 / 都市研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は、全インドにおいて商業・金融業を掌握し、近代セクター資産の半分以上を握るといわれる商業集団「マールワーリー」に焦点をあて、彼らを輩出したラージャスターン州シェーカーワト地域社会について分析することにある。マールワーリーは、16世紀頃から北インド各地や南インドに進出をはじめ、商業活動の基盤を築いた。そして、19世紀から20世紀初頭には、主要な貿易都市ボンベイとカルカッタを中心に、産業化の過程で他の商業集団を圧倒する成功をおさめ、インドを代表する産業資本家へと成長をとげた。独立後のインド経済においてマールワーリー民族資本が占める割合は抜きに出て高く、民間経済における彼らの影響力の大きさはしばしば指摘されてきた。しかし、彼らの進出先での経済活動について言及したものを除くと、実のところマールワーリー社会についての研究は多くない。本研究では、マールワーリーの出身社会をあつかう。後にインド各地に進出し、マールワーリーとよばれるようになる人々が、シェーカーワト地域各地の商業町を活動拠点とした18世紀頃から、産業資本家となって故郷を離れる20世紀半ばでの間の、商業コミュニティの人々の社会経済的活動を明らかにする。特に、彼らが商業活動によって得た富をどのように消費したのかに注目し、彼らにとっての経済活動の意味を考察するものである。今年度は、研究代表者(中谷)と2名の研究協力者との合同による現地調査を行った。協力者の一人(豊山)は美術史を専門とし、マールワーリーたちが建てた館の壁に描かれた壁画について調査した。別の協力者(小松)は近代の北インド地方の雑誌に描かれた「マールワーリー」像を明らかにするための資料収集を中心におこなった。三者による共同調査と研究会を実施することにより、特定の地域社会における「マールワーリー」表象を複眼的に明らかにすることができた。来年度は、南アジア学会等で研究成果を報告するとともに、出版をおこなう。
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Research Products
(2 results)