2009 Fiscal Year Annual Research Report
アジア現代女性史の研究:冷戦時代の国際女性運動とアジア
Project/Area Number |
21510286
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤目 ゆき Osaka University, 人間科学研究科, 准教授 (60222410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 ベバリーアン 大阪大学, 人間科学研究科, 講師 (10432436)
南田 みどり 大阪大学, 世界言語研究センター, 教授 (80116144)
今岡 良子 大阪大学, 世界言語研究センター, 准教授 (50273735)
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Keywords | Women' s International Democratic Federation / モニカ・フェルトン / 国際民主女性連盟 / 朝鮮戦争 / 平和運動 / ゲルワニ / 九・三〇事件 / アジア女性史 |
Research Abstract |
(1)モニカ・フェルトンの研究:国際民主女性連盟(Women's International Democratic Federation)は朝鮮戦争時代に18カ国の女性団体代表による国際調査団を戦場に派遣した。調査団の団長をつとめたのが英国人モニカ・フェルトンである。1950年代においてフェルトンは英国本国はもとより、国際的にも有名で、日本では『あたりまえの女たち』(岩波新書)の編者としてもよく知られていた。が、それはあくまでもその同時代の有名人ということであって、その人物像はこれまで学術的な研究対象になっていない。そこで、4月から7月にかけて日本で入手可能な文献・資料を収集して予備調査を行い、夏期に渡英して調査を行った。公文書館や図書館を訪ねてフェルトンに関する文献・資料の収集を行った。それと同時に、マーク・クラプソン教授などの現代史研究者との研究交流をも行った。それらをふまえて、フェルトンらの朝鮮戦争調査活動の意義、それらが国際女性運動に果たした役割を考察した。 (2)インドネシア女性運動の研究:1965年の9・30事件は近年までインドネシア共産党によるクーデター未遂事件であったとするインドネシア政府の公式見解のみが流布されてきた。だが、スハルト政権の崩壞によって事件の真相を自由に議論することが可能になり、インドネシアの女性団体・ゲルワニの成立、発展、消滅の過程についても近年ようやく調査と研究が行われるようになった。科研の研究会ではインドネシア社会史協会と密に連絡をとりあって最新の研究成果を学び、その成果の一端を『インドネシア9・30事件と民衆の記憶』と題して出版した。また、9月にはインドネシア社会史研究会の研究者による講演会を開催した。それらの研究活動を通して、日本ではほとんど紹介されていない冷戦時代のインドネシア女性運動に関する知見を深め、それと同時にインドネシア社会史協会が民衆体験をほりおこすために行ってきたオーラル・ヒストリーの方法論をも学ぶことができた。
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Research Products
(6 results)