2011 Fiscal Year Annual Research Report
アジア現代女性史の研究:冷戦時代の国際女性運動とアジア
Project/Area Number |
21510286
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤目 ゆき 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60222410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 ベバリー 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (10432436)
南田 みどり 大阪大学, 世界言語研究センター, 教授 (80116144)
今岡 良子 大阪大学, 世界言語研究センター, 准教授 (50273735)
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Keywords | 国際民主女性連盟 / WIDF(Women's International Democratic Federation) / モニカ・フェルトン / ジレット・ジーグレー / ルードゥ・ドー・アマー / 朝鮮戦争 / 独立促成愛国婦人会 / アジア現代女性史 |
Research Abstract |
2011年度は、研究課題「アジア現代女性史の研究:冷戦時代の国際女性運動とアジア」の最終年度であったので、2009年度・2010年度の調査成果をふまえ、追加調査を行うとともに調査と研究の成果をまとめ、出来る限り発表することに努力した。 成果の第一の領域は、WIDF(国際民主女性連盟)に関する調査・研究である。WIDFは1945年に創立された大規模な国際女性組織であり、国連が1975年を国際女性年と指定するに際しても大きな推進力となった。 WIDFはパリで開催した創立大会(1945年)以後、47年(ブダペスト)、53年(コペンハーゲン)、58年(ウィーン)、63年(モスクワ)、69年(ヘルシンキ)と国際女性大会を主催し、75年のベルリンにおける大会には140ヵ国1600人の代表が参加している。このように世界の女性運動において重大な役割を果たしてきた組織でありながら、従来、WIDFに関する研究は乏しかった。私たちはこのような研究の乏しさに女性史研究内部の冷戦的思考枠組みの継続を指摘する中欧女性史研究の成果にも学びつつ、アジア現代女性史研究の視点から、WIDFが展開した国際女性運動のなかで特にアジア女性史に関係の深い朝鮮戦争真相調査団に着目して、従来全く顧みられていなかったモニカ・フェルトンやジレット・ジーグレーといったヨーロッパからの参加者たちの体験をほりおこした。 第二の領域は、アジア各地の女性運動の展開に関する調査・研究である。特にビルマに関しては、世界的に著名なジャーナリスト・作家であり、WIDFの世界女性大会をはじめ、さまざまな国際会議にビルマを代表して出席・発言し、「ビルマ人民の母」と称されたルードゥ・ドー・アマー(1915年~2008年)に焦点をあてて研究成果をまとめた。また、第二次世界大戦後の南北分断と朝鮮戦争をめぐる諸問題に女性運動がどのような役割を果たしたかについて、韓国に関しては梁東淑・金貴玉らとの研究交流を積み重ね、これまでほとんど解明されてこなかった独立促成愛国婦人会など冷戦時代の右翼女性組織にも光を当てた。モンゴル・中国についても、それぞれのWIDF支部に関して重要な資料を収拾した。
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Research Products
(12 results)