2011 Fiscal Year Annual Research Report
アーレントの「世界愛」で照射する21世紀の東北アジアの「和解」の条件
Project/Area Number |
21510295
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
志水 紀代子 追手門学院大学, 名誉教授 (50079399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 英愛 立命館大学, 法学部, 講師 (80536235)
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Keywords | 「慰安婦」問題の真の解決 / 政治的解決と正義の問題 / 民主主義と公共性 / 草の根市民の異文化理解 / 横断するポピュラーカルチャー / 日韓交流とドラマ |
Research Abstract |
今年度は最終年に当たり、昨年震災の影響で行うことが出来なかった「草の根の市民による『和解』の可能性」のシンポジウムを、研究の総仕上げとして開催することを目標に、そのための準備が年間を通じてのメインになった。 志水は、7月26日から8月11日までの3週間、アメリカ合衆国で40年以上生活している韓国人夫妻と日本人夫妻から、それぞれ「アメリカ合衆国で普通に暮らす中から見えた日本と韓国のあるべき関係」についてインタビューを行った。バッファローで暮らす韓国人夫妻は80歳代の学者夫妻であり、ニューヨークで暮らす日本人夫妻は、夫は元商社マンで80歳代、現在は自営業であり、妻は元服飾関係の自営業をやっていた70歳代である。アメリカという多民族国家で暮らすなかで、異郷の中での同胞社会の絆が、一方は教会関係で、かたや禅・茶道で繋がっていた。韓国人夫妻は日本の植民地時代に日本語教育を受けていて、日本の特に文化人・学者の歴史認識に対して非常に厳しい視点を持っていた。他方日本人夫妻の方では、特に夫は日本の政治家に対して厳しく、維新の会の代表を非常に高く評価していて、インタビューする側が戸惑うと同時に、考えさせられた。 さて、10月29日には関西倫理学会大会で「アーレントの「世界愛」から照射する東北アジアの和解の条件について」という題名で依頼発表を行った。2012年1月には、慰安婦問題解決のための「国民基金」設立に関わり、その専務理事となった和田春樹氏と基金を擁護する立場の朴裕河氏にインタビューを行った。そのとき本科研の趣旨を説明して、シンポジウムのパネリストを依頼、了承を得た。その後、山下氏と手分けして、鄭ユジン氏、花房恵美子氏、戸塚悦朗氏、岡野八代氏に交渉して了解を得、2012年3月10日に同志社大学今出川キャンパス明徳館M1教室で、本課題「アーレントの「世界愛」から照射する東北アジアの和解の条件」<「慰安婦」問題の解決に向けて>のシンポジウムを開催、成功裏に終えることが出来た。現在このシンポジウムの記録集作成にとりくんでいるところである。
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Research Products
(16 results)