2010 Fiscal Year Annual Research Report
超越論的哲学とパースペクティヴ主義についての批判的研究-近現代哲学の帰趨-
Project/Area Number |
21520019
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
圓谷 裕二 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (60227460)
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Keywords | 超越論的哲学 / パースペクティヴ主義 / 存在論 / 認識論 / 言語論 / 多元主義 |
Research Abstract |
研究の目的は、認識一般に関して、その究極的基礎づけを可能とする超越論的哲学とそれを不可能と見なすパースペクティヴ主義に関して、両者の立場を比較検討し、近現代哲学の根底にある根本思想を照らし出すことである。 本年度は、近現代哲学におけるパースペクティヴ主義の代表的哲学者であるニーチェの遠近法の哲学について、その前期から中期、さらには遺稿としての後期の『力への意志』についての研究を推進するとともに、前期の『悲劇の誕生』におけるディオニュソス的なものとアポロン的なものとの対比や、古代ギリシア哲学以来の西洋の理性主義に対するニーチェの批判や、後期の永遠回帰思想についても論究した。さらには、現代のパースペクティヴ主義の代表的哲学者としてフランスのメルロ=ポンティの哲学についての考察を進めた。特に、彼の言語論に見られる相対主義的傾向に光を当てながら、現象学と真理の関係についての論文を仕上げることができた。 そのうえ、ニーチェとメルロ=ポンティの研究を踏まえながら、カントやドイツ観念論における超越論主義や基礎づけ主義が、近現代の相対主義や多元主義の傾向に対してどのような哲学史的意義を持つかについての研究を継続して行った。相対主義と絶対主義との関連異同についてさらに研究を進めることによって、研究の目的を達成するための準備を整えることができた。
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Research Products
(3 results)