2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520034
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木村 正人 早稲田大学, 人間科学部, 准教授 (80409599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野矢 茂樹 東京大学, 総合文化研究所, 教授 (50198636)
竹内 聖一 東京大学, 文学部, 研究員 (00503864)
吉川 孝 高知女子大学, 文化学部, 講師 (20453219)
早川 正祐 上智大学, 哲学研究科, 研究員 (60587765)
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Keywords | 共同行為 / 行為論 / 相互行為 / 社会的行為 / 倫理 / 責任 |
Research Abstract |
中間年度にあたる平成22年度は、分析哲学、現象学、社会学理論等によって従来検討されてきた共同行為論に関する諸論点を確認し、検討を行った。 これまで英語圏を中心になされてきた行為論においては、主として個人の行為に限定したかたちで議論が交わされてきた。しかし行為には誰かと何かを一緒に行ういわゆる共同行為というものがあり、それがいかなる要件によって構成されるのかは必ずしも明らかにはされてこなかった。近年注目されているのは、J.サールやM.ブラットマン、R.トゥオメラ、M.ギルバートらの議論であるが、彼らによる共同行為を特徴付ける試みは、共同行為特有の意図性の諸原理(共有された意図がいかなる身分をもつか)の探究に焦点化されており、共有意図を諸偶人の意図に還元できるかという還元主義アプローチの当否をめぐって立場が分かれている。 そこで我々は分析哲学の行為論に限らず現象学や社会学的行為論における議論の蓄積をも顧慮することで、従来の共同行為論のタイプが、さまざまな種類に分類可能な共同行為のうちいかなる行為タイプに対して適用可能性をもっているかを特定し、各々のアプローチがもつそれぞれの利点と限界を明らかにした。 議論の過程は研究代表・分担者のほか大学院生やポスドクを中心とした研究協力者、その他外部の若手研究者たちによって構成される「行為論研究会」(毎月複数回開催)において共有され、従来の学問領域を超えた対話が積極的に行われた。またこの研究会の成果は、一般公開の研究大会(2011年1月29-30日)において報告され、議論に付された上で、行為論研究会編『行為論研究』第二号にまとめられた。次年度は、本年度までに得られた諸論点・諸課題をうけ、共同行為の責任と倫理にかかわる実践的な諸問題について検討を行う。
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Research Products
(30 results)