2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520034
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Research Institution | Takachiho University |
Principal Investigator |
木村 正人 高千穂大学, 人間科学部, 准教授 (80409599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野矢 茂樹 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (50198636)
竹内 聖一 東京大学, 文学部, 研究員 (00503864)
吉川 孝 高知女子大学, 文化学部, 講師 (20453219)
早川 正祐 上智大学, 哲学研究科, 研究員 (60587765)
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Keywords | 共同行為 / 行為論 / 相互行為 / 社会的行為 / 倫理 / 責任 |
Research Abstract |
研究最終年度にあたる平成23年度は、分析哲学、現象学、社会学理論等の諸分野にわたって検討してきたさまざまな共同行為論の論理構成、共有点と対立、その他諸課題について議論しまとめた。 とりわけ英米を中心に議論されてきた共同行為論には、ふたつの中心課題がある。第一には、共同意図の解明であり、第二には、共同行為の成立要件をあきらかにすることである。諸理論の基本的な論理構成と枠組みは、1)厳格な個人主義、2)ブラットマンに代表される個人的意図の連結によって共有意図を説明する立場、3)共同行為を為そうという個々人の行為意図は共同意図から派生するとするトゥオメラ=サール型.4)ギルバートに代表される非還元主義などにわかれるが、大きくは行為意図について還元主義をとるか否かで分類することができる。しかし、共同行為のタイプを、a)行為意図の主体、b)意図の様相、c)意図内容によって、分類した場合、それらすべての行為タイプをうまく説明する統一的な理論体系があるというよりは、それぞれの理論枠組みはことなるタイプの共同行為について特有の説明力をもっているといえ、その意味ではこれらの諸理論はたんに対立しあうのみならず、たがいに相補的な関係においてとらえることができる。 従来の行為哲学の議論は単一行為者による行為に分析が限られており、共同行為論の諸理論の詳細な分析にくわえ、諸理論の位置づけを明らかにできたことは、本研究の大きな成果だと言える。 またこうした議論の過程は研究代表・分担者のほか大学院生やポスドクを中心とした研究協力者、その他外部の若手研究者たちによって構成される「行為論研究会」(毎月開催)において共有され従来の学問領域を超えた対話が積極的に行われた。またこの研究会の成果は、行為論研究会編『行為論研究』第3号にまとめる予定である(2012年夏頃刊行予定)。
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Research Products
(34 results)