2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520039
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
永嶋 哲也 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (60304698)
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Keywords | 哲学 / 思想史 / 西洋古典 / 西洋史 / 外国文学 |
Research Abstract |
1文献収集 オウィディウスやウェルギリス、ホラティウスなど古典文学やセネカなど古代哲学の重要な一時文献を揃えることができた。また昨年度に引き続き、中世哲学や現代哲学、中世文学の主要な二次文献もいくつか入手できた。しかし、特に中世に俗語(ロマンス語)で書かれた文学作品についてと、キリスト教神学についての文献資料は、一次文献、二次文献ともに必要な資料を揃えることができたとは言えない状況であるので、取り揃えることができるよう今後も努力してゆきたい。 2アミキティア論の検討 Ex epistolis duorum amantiumと呼ばれる12世紀フランスで書かれた書簡集の検討を行った。書簡集の校訂者は、哲学史上有名なアベラールとその妻エロイーズとが恋人として交際していた頃に交わした書簡であろうと推測しているが、その推測の妥当性を検討することまでも視野にいれなければならない。先行研究も少なく、検討すべき点は多い。検討結果を研究成果としてまとめる段階にまでは至っていない。23年度も引き続き検討を続けたい。 3恋愛観についての描写、背景思想の検討 恋愛が「発明」される12世紀より前の時代において、恋愛はしばしば「悲劇を生む狂気」として描かれるという指摘に対して、具体的に古典作品の中での恋愛の描かれ方を検討した。それらの検討を通じて、恋愛感情は古典作品中に実際描かれており、むしろそこに欠けているのは恋愛を神聖視する受け取り方であることが確認できた。その研究結果をまとめ、論文として公開した。「悲劇を生む狂気と神聖な感情 恋愛が「発明」される前の恋愛の形」(『自然と文化』37号、2010年)
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