2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武田 時昌 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (50179644)
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Keywords | 中国哲学 / 中国の占術 / 占い / 術数学 / 術数書 / 日書 / 方術 / 陰陽五行 |
Research Abstract |
本年度は、馬王堆帛書、中世の経方書や『医心方』等の医書に展開された禁忌や呪いに関する言説を検討し、また『宅経』等の敦煌出土資料の読解を試みた。そして、これまでの2年間で行った考察を含めて、先秦、秦漢の出土簡帛から中世、近世の術数書に至る占術理論を包括的に検討し、その理論的形成過程を考察した。とりわけ、中心的な占術の手法である孤虚、十二直、叢辰、刑徳について、作成した占術書基礎文献データベースを活用して、その配当方式の数理構造の解明を試み、考察結果を研究成果報告書(CD-ROM版)としてまとめた。 日書・術数書の読解に際しては、その方面の研究者を集めて共同研究会を月1-2回程度開催した。また、10月より3ヶ月間、研究所の客員教授として招聘した陳松長教授(湖南大学岳麓書院副所長)を講師として、岳麓書院所蔵秦簡を中心とする特別講演会&研読会を催した(12月3日、1月7日)。さらに、2012年2月2-4日には、韓国術数学学会の中心メンバー及び中国人を含む国内外の研究者を招いて東アジア占術研究に関する国際ワークショップを開催し、3年間の研究成果を踏まえた活発な討論を繰り広げるとともに、国際的な共同研究体制の構築に向けた協議を行った。 以上のような3年間の研究を通して、これまでほとんど取り上げられなかった中国占術理論に対して、科学思想史的なアプローチによる数理的考察を行い、理論的な形成と展開を窺うことができた。本研究は、術数学、すなわち易を中核とする占術と自然科学の諸分野とが複合した中国特有の学問分野を解明するためのフレームワークである。日本科学史学会、日本道教学会で研究発表を行い、研究の意義や共同研究プロジェクトの立ち上げを提言したが、今後は研究対象を術数学全般に拡充し、その総合的な研究を推進したいと考えている。
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