2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520071
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
渡辺 祐子 Meiji Gakuin University, 教養教育センター, 准教授 (20440183)
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Keywords | キリスト教 / 日中関係 / 近代中国 |
Research Abstract |
2009年度の研究計画に掲げた「清末の留日事業と在華キリスト教教育事業との関連に関する研究」の成果を以下のように挙げることができた。 1906年に神田に設立された中華留日基督教青年会は、日中教育交流のみならず、中国における革命運動や抗日運動の在日の拠点として極めて重要な役割を果たしたが、従来の研究では、日本における五四運動の展開の舞台装置として扱われるのみで、組織そのものの詳細についてはほとんど知られてこなかった。本研究は、これまで使用されることのなかったミネソタ大学YMCAアーカイヴを駆使しつつ、中華留日基督教青年会をキリスト教を介した日中関係の中に位置づけ、その設立の歴史的意味を考察したものである。研究の成果は、2009年中国武漢で開催された国際学会において発表したが、現在も水道橋で運営されている韓国YMCA(3.1独立運動に先立って、2.8独立宣言が読み上げられたことで知られる)との比較を試みたこともあり、中国人研究者のみならず、韓国人研究者からも高い関心を集めた。発表原稿はその後論文としてまとめ、現在初校待ちの状態である。2010年度中にPeter LangのシリーズStudies in the Intercultural History of Christianityの1冊として出版される論文集に掲載予定である。 この他、研究課題に関わるものとして、1910年代の孔教国教化論議と、旧満州国における日本人伝道の記憶のあり方に関する論考を、前者は単著論文として、後者は共同執筆の形で発表した。前者は、日本の国家神道をモデルに生まれた孔子教を国教とする議案が、キリスト者を中心とする反対運動によって廃案に追い込まれた過程を論じたものであるが、国家神道と日本のキリスト教との関係を比較の対象とする視点をも含んでいる。ふたつのテーマとも、今後継続して考察を重ねてゆきたい。
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Research Products
(4 results)