2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520071
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
渡辺 祐子 明治学院大学, 教養教育センター, 准教授 (20440183)
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Keywords | キリスト教 / 宗教学 / 東洋史 / 関係史 |
Research Abstract |
2010年度は(1)「宗教教育規制に対する日本および中国のキリスト教学校の対応」と(2)「世界エキュメニカル運動と日中キリスト者の交流」の研究を計画していたが、資料入手が容易に進まなかったことから、別途購入することができたイギリスの宣教師資料Conference of British Missionary Societies Archivesに依拠して、旧満州における日本人キリスト教伝道を、儒教=礼教に基づく国民道徳と国家神道との緊張関係、満州国の宗教政策、キリスト教学校の神社参拝への対応等の観点から考察した。宗教規制とキリスト教教育の対立、葛藤の問題を扱っている点では、少なくとも当初の研究計画(1)と大きく外れるものではない。 日本のキリスト教指導者たちによる植民地伝道や、神社参拝問題は、主に植民地朝鮮研究の領域で扱われることがほとんどで、満州国を対象としたものは多くなく、さらに宣教師資料を用いた研究は非常にまれである。その意味からも本研究は、研究史上の空白を埋める上で重要な意味を持つものである。 この他2011年度は、2010年度に集中的に行った「清末の留日事業と在華キリスト教教育事業との関連に関する研究」の成果をPeter LangのシリーズStudies in the Intercultural History of Christianityの論文集に掲載、さらに英語版を大幅に加筆した日本語論文を大学紀要に発表し、キリスト教関係者が日中交流の具体的な形である留学生事業にどのようにコミットしていたかを論じた。従来軽視されていたテーマをこれまで使われたことのないYMCA Archiveを駆使しつつ明らかにした本研究は、中国人留学生研究史にいささかなりとも貢献しうるものであると思われる。
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Research Products
(2 results)