2010 Fiscal Year Annual Research Report
転換期における「貧困」に関するアウグスティヌスの洞察と実践の研究
Project/Area Number |
21520084
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
出村 和彦 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (30237028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 直樹 東京学芸大学, 教育学部, 非常勤講師 (40535324)
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Keywords | アウグスティヌス / 貧困 / 教父 / 初期キリスト教 / 神の国 / 古代末期 / 心 / 転換期 |
Research Abstract |
本研究の2年目において、既に入手した古代末期の貧困に関するデータベースを活用しつつ、前年度の研究から明らかになった課題を検討することに着手した。また、幾つかの学会において研究成果を発表すると共に、共同セミナー等でオーストラリアの研究チームとの討議を進め、最終年度に作成する予定の報告書の内容について、具体的な検討を行った。 出村は国際学術誌に前年度9月のアジア環太平洋初期キリスト教学会での発表を論文に練り上げたもの掲載し、また、「貧困」と「心」についての序論的な論文を発表した。上村は、前年度末3月に韓国ソウルで開催された国際学会での発表を再考することによって、「貧困」の問題圏における社会性の実態を初期著作に遡って考察した成果を、北米教父学会(米国シカゴ)において発表した。そして、アウグスティヌスの宗教的な言説の典型である「霊的な修練(exercitatio animi)」の実態を、「説教」において検証した成果をカナダ教父学会(モントリオール)において発表した。さらに、『神の国』において検証した成果をメルボルの国際学会において発表した。この場で、出村は古代末期の危機的状況における「著作」の贈呈先への効用を論じる発表をし、上村とともにオーストラリアの研究チームとの討議を行った。さらに、上村は、2011年7月に英国リーズで開催される予定の国際中世会議が学会統一テーマを「貧者と富者」と決定したことに合わせて、本研究全体の成果を発表するべく準備を進めた。 両名は本年度末3月にオーストラリア・カトリック大学初期キリスト教研究センターでオーストラリアの研究チームとの共同セミナー(Joint Japanese-Australian Seminar on Crisis in Late Antiquity)を開催し、そこでオーストラリア側との意見交換を行うと共に、最終研究成果報告書の内容や構成について綿密に検討した。
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Research Products
(8 results)