2010 Fiscal Year Annual Research Report
君主制強化策としての社会契約論―ジョン・ロック『統治二論』の新解釈
Project/Area Number |
21520085
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山田 園子 広島大学, 大学院・社会科学研究科, 教授 (10158199)
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Keywords | ジョン・ロック / 統治二論 / 社会契約論 / 君主制 / 古来の国制 / イングランド教会 / エドワード・スティリングフリート / 主教制教会 |
Research Abstract |
本年度はジョン・ロック『統治二論』の再検討を目的として、具体的に以下の二つの作業を行った。 1.論文「ジョン・ロックにおけるフランス旅行の衝撃」を執筆・投稿し、平成23年5月刊行予定である。 2.平成22年10月に開催された「日本政治学会」研究大会セッション(招待講演)で「『ロック政治論集』翻訳から思うロック研究の今後」と題して報告・討議を行った。 この作業の意義と重要性については以下である。 1について、ロックのフランス旅行は、『統治二論』執筆の動機となるクレリカリズム批判(聖職者の政治支配批判)及び神授権主教制批判の経験的根拠となる。前年度のフランスでの調査等を活かし、「ジョン・ロックにおけるフランス旅行の衝撃」の論文を作成した。それにより、フランス旅行中に絶対王政期フランスのクレリカリズムの恐怖を目の当たりにしたロックが、イングランドにおけるクレリカリズムを排除しうる新たな君主制を模索し始めたことを明らかにした。 2について、山田は政治学会員ではないが、セッションでの報告を求められ、今年度の成果の一端を披露した。研究実施計画に述べたように、国内外での『統治二論』研究、ロック研究等の収集を進めると共に、明治以降の日本におけるロック及び『統治二論』研究の整理を進めた。本年度はそうした収集や整理を活かし、また山田自身がかつて刊行した翻訳作業も考慮しつつ、過去の日本におけるロック研究の実態及びその問題点、並びに今後の課題を明らかにした。
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Research Products
(3 results)