2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520094
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三浦 篤 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10212226)
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Keywords | 西洋美術史 / 19世紀フランス絵画 / マネ / 近代絵画 |
Research Abstract |
サロン批評の調査に関しては、パリのフランス国立図書館でマネの《エミール・ゾラの肖像》(1868)と《フォリー・ベルジェールのバー》(1882)に言及した新聞雑誌記事を収集し、整理した。同時に作品調査も行い、《エミール・ゾラの肖像》(パリ、オルセー美術館)と《フォリー・ベルジェールのバー》(ロンドン、コートールド研究所付属美術館)を綿密に実地観察した。また、関連資料もオルセー美術館の絵画資料部で調査した。続いて、収集した批評の詳しい読解を行い、作品に対する当時の反応、受容を具体的に解析した。《エミール・ゾラの肖像》については、とりわけ当時の肖像画様式を逸脱し、静物画にも通じる独特の人物表現が指摘されていた。《フォリー・ベルジェールのバー》に関しては、鏡像と女性の表情の矛盾や不可解さへの言及が見られるほか、新資料として2点の興味深いカリカチュアを発見した。ともに、マネの作品の特徴である、忠実な現実再現ではなくイメージを操作しつつ画面を構成していく手法作品の読み取りを混乱させる曖昧さや多義性につながっていくことを裏付ける批評資料である。造形分析だけではなく、このような同時代資料を活用することで、マネの作品と当時の慣習的な絵画理解との落差があらためて浮き彫りになった。研究の成果は、前年の調査を踏まえて《オランピア》に関する分析を深めた論文と、今年度の調査を生かして《フォリー・ベルジェールのバー》についての新視点を出した論文の2本にまとめて発表した。
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Research Products
(4 results)