2010 Fiscal Year Annual Research Report
カトリック改革の画像戦略と美術への影響に関する研究
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21520101
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮下 規久朗 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (30283849)
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Keywords | セビーリャ / 彩色彫刻 / モンタニェス / バリャドリード / フェルナンデス / サラマンカ / チュリゲラ / バロック |
Research Abstract |
本研究は、カトリック改革が西洋美術に及ぼした影響を解明するため、16世紀後半から17世紀初頭にいたるイタリアを中心とする教会と美術、政治と美術との関係に注目し、作品検閲・装飾事業・収集活動といった、作品をめぐる権力と受容の問題を通しでカトリック改革が、マニエリスムとバロックとの過渡期であるこの時代の美術にどのように具体的に作用したのかを探るものである。16世紀後半に日本にもたらされ、南蛮美術に継承されたが、教皇庁や教団の画像輸出政策と画像をめぐる宣教方針についても、記録・資料と布教用画像との両面から調査する。平成22年度は、カラヴァッジョ研究のほか、カトリック改革がもっとも成功し、17世紀のバロック美術の隆盛につながったとされるスペインの美術について調査研究を行った。美術理論家でもあった画家フランシスコ・パチェコに牽引され、ベラスケスやスルバランを経てムリリョやバルデス・レアールにいたるセビーリャにおける絵画制作の状況、マルティネス・モンタニェスの彩色彫刻とチュリゲラ様式の祭壇衝立の導入などについて、現地に赴いて調査した。また、セビーリャと並ぶ宗教彫刻の中心地であるバリャドリードで、グレゴリオ・フェルナンデスを中心に、アロンソ・ベルゲーテ、ファン・デ・フーニ、ペドロ・デ・メーナらの彫刻作品を調査した。また、スペイン・バロックを特徴づけ、中南米のバロック様式の主要素となったチュリゲラ様式について調査し、その創始者ホセ・ベニート・チュリゲラの祭壇衝立についてサラマンカとセゴビアの教会で作品を実見し、資料を収集した。
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