2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520139
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石川 達夫 Kobe University, 国際文化学研究科, 教授 (00212845)
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Keywords | チェコ / バロック / 対抗宗教改革 |
Research Abstract |
チェコ・バロック研究の初年度は、日本にはほとんど全く存在しないチェコ・バロックに関する資料の収集から始めた。プラハの国立図書館、古書店、書店等で調べた結果、論文も含めるとチェコ・バロック関係の文献が意外にも百数十点もあることが分かり、夏にチェコに出張した際に、それらの収集および読解に努め、かなりの文献を収集することに成功した。ただし、重要な文献でまだ入手できていないものがあるので、それは来年度以降、再びチェコに出張した際に入手に努めるつもりである。 また、チェコに出張した際、プラハのバロックの芸術遺産(建築・彫刻・絵画など)を実地に調査し、かなりの遺産を調査することに成功し、それらを高性能のデジタルカメラで数百枚のデジタル写真に撮ることができた。これらの写真は、将来チェコ・バロック研究を書物として出版する際に資料として付けることができる貴重な画像である。また、実地調査を通じて、東欧革命以後、チェコでもバロック芸術の遺産への関心が非常に高まってきて、チェコ国立美術館が専門のバロック分館を設置したことが分かったのが、大きな収穫であった。このバロック分館には、非常に多くのチェコ・バロック美術が集中的に納められている。ただし、今回はプラハ以外の場所を調査する余裕がなかったので、来年度以降、プラハ以外の場所の実地調査にもでかけたいと考えている。 以上のように、初年度に資料についてはかなり収集することに成功したが、本格的な研究は来年度以降になる見込みである。しかしながら、2010年5月刊行予定の拙著『チェコ民族再生運動-多様性の擁護、あるいは小民族の存在論』(岩波書店)の中で、チェコ民族再生運動に先行するバロック時代のチェコの歴史と精神風土についても、かなり書き込むことができ、今後の本格的なチェコ・バロック研究のための基礎を築くことができた。
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