2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520139
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
石川 達夫 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (00212845)
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Keywords | チェコ / バロック / 対抗宗教改革 |
Research Abstract |
チェコ・バロック研究の2年目は、管理職に就いたために、残念ながら思ったように進められなかったが、引き続きチェコ出張とインターネット書店を通して新刊と古書で多くのチェコ・バロック関係文献を収集することができた。 また、チェコに出張した際、引き続きプラハ・バロックの芸術遺産(建築・彫刻・絵画など)を実地に調査し、デジタルカメラで多数の画像を撮ることができた。来年度は、プラハ以外の場所の実地調査にもでかけたいと考えている。 文献の解読は少しずつ進めており、チェコ・バロックに関する新しい大部の研究などを読み終え、チェコにおける最新の研究動向を把握することができた。それによって、チェコ・バロックの独自性が何に由来するものなのかも、少しずつ明らかになってきた。歴史的伝統(プロテスタンティズムの強さなど)、地形的要因(プラハの丘陵地など)、素材(砂岩と木材など)、国際性(ドイツ人やイタリア人などの流入)など、一言でいえば「風土」と呼びうるような要素が、チェコ・バロックの独自性を生み出す上で大きな役割を果たしたと考えられるのである。 また、チェコ・バロックは分野的に、建築・彫刻・絵画にとどまらず、音楽・演劇・工芸(例えばガラス工芸)などにおいても開花し、レベルの高い作品を生み出したこと、また地域的に、プラハ以外の地域にも広がり、その際地域的な独自性も帯びるようになったことが分かってきた。 来年度はこの方向でさらに研究を進め、チェコ・バロックの独自性を具体的な作例に則して明らかにしたい。
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