2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520142
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
伊集院 敬行 島根大学, 法文学部, 准教授 (90304245)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ル・コルビュジエ / 中井正一 / ハイデガー / フロイト / 映画 / モンタージュ / 自由連想 / 精神分析 |
Research Abstract |
[具体的内容] これまで中井正一についての研究は、その思想にあるハイデガーの影響については論じられても、その美学は十分にハイデガーに即して論じられてはこなかった。その理由は、これまでの研究が、1)中井がル・コルビュジエ的機械美学を発展させ、これを映画と結び付けて論じたことを重視したこと、2)中井のル・コルビュジエ理解を単純な機能主義美学として理解したことにある。こうしてこれまでの研究は、中井が映画の美を単純な機能美として理解してしまい、中井がル・コルビュジエや映画をハイデガーに基づいて論じたことが十分に考察されていないように思われる。 そこで24年度の本研究は、中井が、一方で精神分析の技法(自由連想法)とソヴィエト映画のモンタージュを比較し、他方でハイデガーの実存的思想と精神分析理論(精神分析理論の心理学的側面)を比較していることに注目し、中井の映画理解について考察した。そして、これにより本研究は、中井のモンタージュのハイデガー的理解を可能にしている精神分析理論の重要性を明らかにした。 [意義・重要性] 中井は、映画という機械とル・コルビュジエの機械美学に、ハイデガーの言う存在の暴露を認めた。また、中井はハイデガーの存在論を精神分析理論と比較し、存在の開示を無意識の暴露と重ねた。したがって、中井がル・コルビュジエの機械美学に見た存在の開示もまた、無意識の暴露として見ることができるだろう。だとすれば、これはル・コルビュジエのピュリスム的機械美学の精神分析解釈を可能にする一つの切り口となる。そして、ピュリスム建築を精神分析的に理解することは、ピュリスムとブルータリスム(シュルレアリスム的とされるル・コルビュジエの後期建築)との関係を精神分析的に考察することを可能にする。ここに本年度の研究成果の意義、重要性がある。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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