2009 Fiscal Year Annual Research Report
「組踊の系譜-朝薫の五番から沖縄芝居、そして『人類館』へ」
Project/Area Number |
21520147
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
与那覇 晶子 University of the Ryukyus, 大学教育センター, 非常勤講師 (30412860)
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Keywords | 組踊の系譜 / 朝薫五番 / 沖縄芝居 / 「人類館」 / 近・現代沖縄演劇 / 沖縄語(ウチナーグチ) / 新作組踊 / 文化的アイデンティティー |
Research Abstract |
平成21年4月19日、国立劇場おきなわで上演された新作組踊「悲愁トゥバラーマ」(大城立裕作、幸喜良秀演出、玉城節子主演)のリハの収録・撮影、インタビューを実施し新作組踊と古典組踊の比較ができた。新作組踊は古典組踊と近代以降の沖縄芝居や民謡、雑踊も含めた統合性が見られる。平成21年6月26日-28日、春の日本演劇学会全国大会(大阪市立大学)にて「辻(遊郭)と沖縄の近代演劇」について研究発表した。明治12年の廃藩置県(琉球処分)以降、首里王府の禄を断たれた宮廷芸能の担い手(士族層)が港町那覇の辻や仲島遊郭界隈でカマスで囲った芝居小屋を造りそこで彼らの芸を切り売りしたのが商業演劇・沖縄芝居の端緒であり、その報告ができた。平成21年11月14日-16日、名古屋で公演された玉城流扇寿会の新作組踊「海の天境」(大城立裕作、幸喜良秀演出、金城美枝子主演)と琉球舞踊の調査、また関係者(実演家、演出家、地謡、スタッフ)インタビューを実施、伝統と現代の比較検証ができた。平成22年1月29日-2月2日、ロサンゼルスで公演された同新作組踊のアンケート、関係者・観客インタビューを実施し海外でどう受容されたかその調査ができた。同年2月3日-4日は東京NHK放送博物館で組踊「大川敵討」の系譜作品としての森本薫作「大川仇討」の台本を入手し、仇討物の系譜として朝勲の「二童敵討」から「大川敵討」、そして近代以降の森本の「大川仇討」、またそれから翻案された大城立裕の「春秋大川城」までの系譜をたどることができた。平成22年2月16日、沖縄県指定無形文化財琉球歌劇・保持者指導による歌劇「奥山の牡丹」のリハを収録し、会長の森田豊一氏から組踊の影響を受けた歌劇について貴重な証言を得た。他、数人の保持者からお話を伺った。平成22年3月5日-6日、東京外国語大学で開催された危機言語・琉球諸語の研究ワークショップに参加し、組踊や沖縄芝居の表現主体言語・沖縄(琉球)語、そして昨今のウチナーヤマトググチの近況の認識を深めた。沖縄(琉球)語の保存、継承、復興は沖縄芸能と連動している。3月7日、国立劇場小ホールで上演された「おきなわ芸能のいま、そしてこれからII」を観賞、また新作組踊「遁ぎれ結婚」(大城立裕作、玉城満演出)関係者のインタビューと沖縄公演との比較検証ができた。平成22年3月16日-18日、IFTR/FIRT(国際演劇学会)アジア演劇研究会のアジア演劇会議(クアラルンプール)で「Okinawan Madame Butterfly」について研究発表し、21世紀現在のアジアの多様な伝統芸能とそのRevitalizationの認識を深めた。
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