2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520154
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
渋谷 哲也 Tokyo International University, 准教授 (90438789)
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Keywords | ドイツ映画 / 移民 |
Research Abstract |
平成21年度は、ドイツにおける移民を主題とする映画、および移民当事者によって製作された映画について、可能な限り作品を視聴し、また論文や雑誌記事などを精読することにより、それぞれの時代での評価の変化を概観した。その際、社会背景の考察だけでなく、各映画作品において美学的な特徴や、映画作家の技法的特徴、また映画史的な影響関係も同時に考察することで、「移民」と「映画」双方の関連において、20世紀後半から現代にかけてのドイツ史を考察する試みとした。 70年代のファスビンダー、80年代の『40m^2のドイツ』、『ヤスミン』、90年代のアルスラン、現代の移民2-3世作家まで、目立った作品を順次考察した結果、重要な作品はそれぞれ独自の映像美学的特徴を備えていることがわかる。例えば移民第一世代の直面する社会からの疎外の表現は、狭い住居に監禁され、他者にエイリアン扱いされる姿が描き出され、視覚的なサスペンス盛り上げを効果的に用いている。こうした表現の考察は、作者や主人公のアイデンティティの問いが、単に国籍だけの問題ではなく、さらに普遍的な映像美学や人間心理等を要因としていることを明らかにする。
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Research Products
(1 results)