2009 Fiscal Year Annual Research Report
クララ・シューマンピアノ作品の演奏法研究と楽譜校訂
Project/Area Number |
21520156
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Research Institution | Shobi University |
Principal Investigator |
川嶋 ひろ子 Shobi University, 芸術情報学部, 教授 (00149212)
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Keywords | クララ・シューマン / ピアノ演奏法 / 楽譜校訂 / 女性作曲家 / 西洋音楽史 / ドイツロマン派 / 音楽学 / ジェンダー |
Research Abstract |
クララ・シューマンは世界的ピアニストであると共に作曲家としても素晴しい作品を数多く残している。彼女が大変卓越したピアニストであるためか、彼女のピアノ作品は実際演奏してみるとかなり高度なテクニック或いは演奏上の工夫を必要とする物が多く見られ、今までに出版されているピアノ曲の楽譜には運指法、ペダル、表現記号などがほとんど記入されていないため、作品の表現やまとめ方を把握するのが困難であり、楽譜を入手して弾き始めたがまとまり切らずに途中で断念している人も多い。クララ・シューマンが育った音楽的環境や彼女の性格、音楽的傾向を理解し、これらに基づいて彼女の作品を分析して始めて表現方法を見出すことが出来、これを楽譜上に校訂として表す必要がある。また日本語による演奏法の解説を付すことにより、日本でも彼女の作品を理解し、音楽的に演奏出来る人達が増えることを期待出来る。 本研究では「クララ・シューマンピアノ作品全集」I巻(結婚までの作品)、II巻(結婚後の作品)としてまとめる計画であるが、クララ・シューマンの楽譜には未出版楽譜や絶版楽譜もあり、これらの作品は自筆譜を入手する必要がある。平成21年度はまずベルリン国立図書館、シューマン・ハウス・ツヴィカウ、ドレスデン国立図書館、ウィーン楽友協会で未出版楽譜と絶版楽譜の自筆譜を入手。またドイツ、オーストリアなどではこの10年程の問にクララ・シューマンに関する文献や資料が多数出されており、今までとは違った角度から見た彼女の人間像も研究されてきている。これらの資料をもとに彼女が表現しようとした音楽を演奏法研究によって探り、その音楽を楽譜の上に表すべく校訂を加え、ピアノ作品全集としてまとめていく計画である。
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