2011 Fiscal Year Annual Research Report
季節感、季節認識に関する比較文化研究-俳句の国際化を視座として
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21520177
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
松井 貴子 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (90315276)
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Keywords | 俳句 / 季節意識 / 文化比較 / 異文化受容 / ハワイ / アラスカ / 四季 / 気候風土 |
Research Abstract |
2011年7月および2012年3月に、アメリカ合衆国(アラスカおよびハワイ)で現地調査を行い、ハワイとアラスカにおける季節意識について新たな知見を得るとともに、日本では入手することが難しい資料を手に入れることができた。春夏秋冬の四季のうち、これまでは、主に夏と冬に注目して研究を進めてきたが、今回の調査によって、夏と冬の中間に位置づけられる春という季節について考察を進めるための有益な手がかりを得ることができた。 研究成果の発表として、「ハワイの冬の俳句」(「宇都宮大学国際学部研究論集」33号)を、雑誌論文にまとめ、熱帯地方にあるハワイで、アメリカ本土出身の日系ではないアメリカ人の詩人によって、英語で創作された冬の俳句の特質を明らかにすることができた。それから、「『俳句』試訳-アメリカ発俳句入門(1)」(「外国文学」56号)に続く「『俳句』試訳-アメリカ発俳句入門(2)」(「外国文学」61号)では、アメリカでの現地調査の成果を活かして、英語俳書PatriciaDonegan,磁fk璃2003,TuttlePubhshing.を読み進め、俳人としての実感を加えて、原文の英語を、わかりやすい日本語に翻訳した。この翻訳を通して、英語の俳句と季節意識の特質について理解を広めることが期待できる。 さらに、2011年10月27日に、茨城県立日立北高等学校生徒を対象としたセミナー「俳句を読み解く-季節感・発見・感動/小さくて大きな世界」を開催して、季節意識の特質について講義し、また、2012年3月3日に、一般市民を対象としたワークショップ「絵画の写生・ことばの写生-絵からはじまる俳句入門」(横須賀美術館)を実施して、季節意識を活かした俳句創作について講義することによって、科研費による研究成果を社会へ発信することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アメリカ合衆国(ハワイおよびアラスカ)での現地調査と資料収集を継続して行い、文献資料を読み進めて、考察を加えている。そして、国際学会での招待発表を行った他、毎年、研究論文にまとめて、着実に成果公開を行っている。加えて、一般市民を対象としたワークショップや高校生へのセミナーによって、科研費による研究成果を社会へも発信している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、アメリカ合衆国での現地調査と資料収集を進め、並行して、文献資料を読み込み、研究課題について考察を深める。そして、それを、研究論文としてまとめ、科研費による研究の成果を公開する予定である。あわせて、大学や学会以外の場での、一般市民などを対象とした研究成果の公開、社会に向けた研究成果の発信を、機会をとらえて行う予定でいる。、
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