2010 Fiscal Year Annual Research Report
戦後期日本のサークル運動と文学についての基礎的研究
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21520193
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
鳥羽 耕史 徳島大学, 大学院・ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (90346586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅本 康之 藤女子大学, 文学部, 教授 (90316232)
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Keywords | 日本文学 / サークル運動 / 花田清輝 / 1950年代 / 「記録」 / 共同制作 / 『新日本文学』 / 『生活と文学』 |
Research Abstract |
前年度に続き、戦後期の日本で広く普及していたサークル運動の実態を明らかにするため、各地で聞き取り調査を行いつつ、資料収集に努めた。北海道大学での版画サークルに関わっていた桂川良伸氏へのインタビューを共同で行い、イールズ事件60周年記念集会でも当事者の証言や分析を聞いた。また、サークル運動において中心的なジャンルであり、しばしば共同的な形で制作された詩やルポルタージュなどの文学について、同時代の前衛的な文学・芸術運動や政治運動との関連の中で、新しい読みかえ・位置づけを行う作業の中で、次のような発表を行った。 研究代表者・鳥羽耕史は、「『綜合文化』と花田清輝の芸術運動」で芸術運動の中での同誌の意義について紹介し、サークル運動や戦後文学に関わる二著への書評を発表した。また、鳥羽が関わって復刻出版が開始された『人民文学』『文学の友』の後継誌である『生活と文学』の総目次を作成し、今世紀に入ってガリ版刷で刊行された『原爆詩集』と平和運動の意義について考察し、宮澤賢治と安部公房の関わりについても事典項目を執筆した。さらに、1950年代のサークル運動やルポルタージュの運動を「記録」をキーワードとして捉える『1950年代-「記録」の時代』を上梓した。 研究分担者・菅本康之は、花田清輝の側からの理論的側面の考察として、「花田清輝編集長下の『新日本文学』」、および「花田清輝の『共同制作』論」の学会発表を行った。また、『コレクション・モダン都市文化第3期第58巻マルクス主義』において、モダン都市とマルクス主義に関わる理論的考察を行った。研究成果発表のためのホームページのドメインも取得し、『人民文学』と『生活と文学』の目次データ等を掲載する準備をはじめたところである。
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Research Products
(11 results)