2011 Fiscal Year Annual Research Report
中世後期成立の百科全書的テキストに関する基礎的研究
Project/Area Number |
21520226
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小助川 元太 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (30353311)
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Keywords | 国文学 / 中世後期 / 百科全書 / 『〓嚢鈔』 |
Research Abstract |
当該年度は、『〓嚢紗』のデータベース化の作業、諸資料による「雑談」の実態調査、研究成果の発表を中心に行う予定であったが、昨年度同様、計画通りに進んだとはいいがたい。とくに『〓嚢紗』のデータベース化の作業は予定通りには進まなかった。また、諸資料による「雑談」の実態調査についても、まだ作業途中のまま、期間が終わってしまった。もちろん『〓嚢妙』のデータベース化作業は今後も公刊を目標に進めていく方針であり、「雑談」の実態調査も作業として継続するつもりである。幸いにして、24年度「中世百科全書的テキストの成立基盤に関する総合的研究」(基盤研究(C))が採択された。これは本研究を発展的に広げるものであるため、本研究で達成できなかった基礎作業を継続しながら、百科全書的テキストの実態および中世における知の享受のありようを明ちかにしていきたい。なお、今年度の成果としては、昨年度の研究成果を2本、論文の形にまとめて公表することができた(2011年8月、2012年2月)。また、8月には、私が百科全書的編纂物に準ずる作品と考えている『源平盛衰記』をテーマにした成果の発表を海外の学会で行うことができた。(13th International Conference of the European Association for Japanese Studies)つまり、本研究の申請時からの目標を達成できたことになる。さらに、本研究課題の中心となるテキスト、『〓嚢砂』の編者に関わる研究として、『八幡愚童訓』甲本の未紹介資料である対馬本の翻刻を年度内に公刊(2012年3月)し、和訳本『帝鑑図説』の基礎的研究とその成果の一部を表す翻刻作業(2012年夏頃公刊予定)も進めることができた。まだ調査中の段階ではあるが、中世後期成立百科辞書的編纂物に関わりの深い、刀剣伝書の調査も進めることができた。今後は、それらの成果をもとに、中世後期を中心とした乱世における政治や文化を支えた知の問題を、百科辞典的なテキスト群の生成と享受という視点から解明していきたい。
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Research Products
(6 results)