2011 Fiscal Year Annual Research Report
初期近代イギリス演劇言語の劇場空間論的観点からの分析研究
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21520231
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
市川 真理子 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 教授 (80142785)
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Keywords | 演劇 / 劇場空間 / せりふ / ト書き / 観客 |
Research Abstract |
本研究は、シェイクスピア劇をはじめとする初期近代イギリス劇のせりふを劇場空間において意味を成す演劇言語と位置づけ、劇場空間論的観点から分析することにより、高度に演劇的なせりふの用例を分類して提示するとともに、せりふを演劇言語として扱うための枠組みを構築することを目的とするものである。本年度は次のような調査および研究を行った。 1.劇テクストの分析によるデータ収集。ファクシミリで間に合うものは国内で分析し、直接オリジナル・テクストを調査する必要のあるものはFolger Shakespeare Libraryで閲覧し調査した。現代の劇場の上演では、舞台構造が違うため、意味を成さなくなるせりふなども収集し分析した。 2.関連する諸研究の調査および研究。劇場、舞台、演技に関する諸研究をはじめ、演劇全般を対象とする空間論だとか、記号論や表象論なども視野に入れた調査および研究を行い、理論を構築するための基礎を築いた。 3.具体的な問題を扱った論考の作成。研究の一端をなす問題に関して論文を書き、オリジナル・ステイジングや関連諸分野の研究者たちのリヴューを求めた。とりわけ、シェイクスピア時代の劇場空間におけるオリジナル・ステイジングの復元の観点からせりふの問題を扱う論考「シェイクスピア劇のせりふ-劇場の現実と虚構の事実-」(「シェイクスピア-劇場・俳優・テクスト」(研究社出版、2013出版予定)を書くことにより、劇場空間における物理的現実と虚構世界の事実との関係に関する様々な具体的事実を考察することができた。
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Research Products
(5 results)