2010 Fiscal Year Annual Research Report
英米アイルランドの現代詩劇・演劇における古典ギリシア劇・神話の現代化の総合的研究
Project/Area Number |
21520277
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
堀 真理子 青山学院大学, 経済学部, 教授 (50190228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 亨 青山学院大学, 経営学部, 教授 (40245337)
外岡 尚美 青山学院大学, 文学部, 教授 (10227605)
伊達 直之 青山学院大学, 文学部, 教授 (30316880)
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Keywords | 英米文学 / 比較文学 / 美学 / 芸術諸学 |
Research Abstract |
今年度は、7月17日に本プロジェクト・メンバーの伊達が、12.月15日には佐藤が、研究成果の中間発表を行なった。伊達はW.B.Yeats、Ezra Poundなど20世紀前半のモダニズム詩人による言語と身体を統合する創作実践が、現在のモダンおよびコンテンポラリー・ダンスにおける身体表現とどのような関係を持ちうるかについて、表現者の主体のあり方が視聴者とどのように公共性/共同性を構成するかという、ギリシア劇に重なる参照枠から調査研究を行なった。佐藤は夏の現地調査の結果を踏まえ、北アイルランドのミューラル(プロテスタント・カトリック、各コミュニティに見られる政治的メッセージを持った壁絵)が発信する政治的メッセージが、今日南北アイルランドで盛んに上演されているギリシア劇の翻案作品と対応関係があることから、その成果を論文と著書の形で出版した。著書では、2006年以来、北アイルランド政府が主導する「コミュニティ塗り替え計画」の一環であるミューラルの描き換えの現状報告と考察を含めた。 11月24日には、エウリピデスの『トロイアの女たち』を演出した文学座の演出家、松本祐子氏を招き、今日、日本でこの作品を上演する意義と新しい解釈の必要性について講演してもらった。堀は古代ギリシア時代からつづく植民の歴史と悲劇が今日の作家によって批判対象として再構築されるさまをベケット作品のなかに見た(口頭発表)ほか、フルブライト研究員として12月末から3ヶ月間、カリフォルニア大学サンディエゴ校のマリアン・マクドナルド教授のもとでこのプロジェクトのテーマの研究を進め、今日のギリシア劇の翻訳・翻案状況について調査・資料収集を行なった。外岡はニューヨークという演劇都市における都市再開発に対して、古代ギリシア以来、演劇が構成する市民権/市民性(citizenship)について、研究の成果を共著の形でまとめた(近刊)。
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Research Products
(6 results)