2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21520284
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
木内 徹 日本大学, 生産工学部, 教授 (50161401)
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Keywords | 黒人研究 / 演劇 / 人種問題 / 舞台芸術 / アメリカ文学 |
Research Abstract |
<平成23年度に実施した研究の成果> 研究の全体構想として、アメリカ文化のなかの黒人文化を歴史的に把握したうえで、黒人の演劇を奴隷制時代から現代まで、アイラ・オールドリッジの『黒人の医者』からオーガスト・ウィルソンの『ラジオ・ゴルフ』に至るまで、一つ一つの戯曲を精査して、黒人演劇が歴史的にどのように発展し展開されてきたかを考察して、黒人演劇としての独自の特徴を見出すことを具体的な目的とする。本年は4作目の19世紀戯曲であるウィリアム・ウェルズ・ブラウン著『逃亡、あるいは自由への飛躍』の研究と翻訳を行った。 (1)研究成果の具体的内容 ウィリアム・ウェルズ・ブラウン著『逃亡、あるいは自由への飛躍』を翻訳し、『日本大学生産工学部研究報告B』44(平成23年[2011]6月20日)、pp.1-38.に掲載した。それに関して、文学史の意味を問うために、木内徹・福島昇・西本あづさ監訳による『世界文学史はいかにして可能か』(成美堂、平成23年[2011]10月刊)を刊行した。また、木内は"Creating African American Haiku From : Lenard D.Moore's Poetic Artisery"をJournal of Ethnic American Literature 1(1)(Fall 2011) : 153-165に掲載し、黒人演劇の研究の一端を示した。また、木内は"Dance and Factories : Richard Wricght and Asia, and Beyond"を『国際文化表現研究』8(平成24年[2012]3月)、pp.203-224.に発表した。 (2)研究成果の意義と重要性 アメリカ本国における黒人演劇に関するほんの一部の研究の流れであるが、日本ではあまりにこの黒人演劇の視点による研究が少ない、あるいは皆無と言ってよい。演劇という、文学のなかでも、特殊な表現形式に関して、黒人演劇という視点を通して、日本人の目をとおした研究に先鞭をつけた点では大きな意義があると自負する。これによって一つの大きな黒人演劇の流れをつかむ端緒となったことは大いに意義があり、本研究の重要性が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」に掲げた黒人演劇の最初期作品の翻訳と作家研究を、以下の通り、それぞれ8点毎年刊行している。 1.共訳「アイラ・オールドリッジ著『黒人の医師』」、『日本大学生産工学部研究報告B』42(平成21[2009]年6月20日)、pp.117-46。(共訳者:福島昇) 2.共訳「ビクトール・セジュール著『セビリアのユダヤ人』」、『日本大学生産工学部研究報告B』43(平成22[2009]年6月20日)、pp.1-57.(共訳者:福島昇) 3.共訳「ウィリアム・ウェルズ・ブラウン著『逃亡、あるいは自由への飛躍』」、『日本大学生産工学部研究報告B』44(平成23[2011]年6月20日)、pp.1-38,(共訳者・福島昇) 4.共訳「ボーリーン・エリザベス・ホプキンズ著『変わり者サム、あるいは地下鉄道』」、『日本大学生産工学部研究報告B』45(平成24[2011]年6月20日)、pp.1-17.(共訳者・福島昇) 5.「黒人俳優アイラ・オールドリッジの生涯について」、『日本大学生産工学部研究報告B』42(平成21[2009]年6月20日)、pp.1-8. 6.「戦争のあとに放たれた砲弾-ビクトール・セジュールの生涯と作品」、『日本大学生産工学部研究報告B』43(平成22[2010]年6月20日)、pp.13-19.(共著者・福島昇) 7.共訳「異端の寵児-ポーリーン・エリザベス・ホプキンズの戯曲『変わり者サム、あるいは地下鉄道』について」、『日本大学生産工学部研究報告B』45(平成24[2011]年6月20日)、pp.21-27.(共訳者・福島昇) 8.共著「奴隷解放の表象-ウィリアム・ウェルズ・ブラウン『逃亡、あるいは自由への飛躍』論(その1)」、『日本大学生産工学部研究報告B』45(平成24[2011]年6月20日)、pp.15-20.(共著者・福島昇)
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策については、研究計画の変更はなく、予定通り、5年目の最後の作品翻訳と作家研究を刊行する予定である。5年目の完成年度に取り上げる作家と作品は、ボール・ローレンス・ダンパーの「ヘリック-三幕の想像上喜劇」である。
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Research Products
(15 results)