2010 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ南部文学におけるナショナル・ナラティヴの意義-近代日本文学との比較考察
Project/Area Number |
21520286
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
後藤 和彦 立教大学, 文学部, 教授 (10205594)
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Keywords | アメリカ南部 / 近代日本 / ナショナリズム / 「失われた大義」 |
Research Abstract |
本研究計画の実施二年目にあたる平成22年度は、1年日に引き続きアメリカ南部において南北戦争敗退後におびただしく産出されたナショナル・ナラティヴとしての「失われた大義」言説の収集およびレトリック分析を行い、当初の研究計画にもとづき、平成22年9月にはミシシッピ州オクスフォードのUniversity of Mississippiを訪問、同地の南部文化研究センター所属の研究者らと、本研究の発展性と今後の共同研究の可能性について議論を行なった。加えて11月には前年度に引き続きノースキャロライナ州チャペルヒルのUniversity of North Carolinaを訪問、同地の南部文化研究所にて資料収集を行なうとともに、同大学の著名な南部研究者Fred Hobson教授と面談し、研究推進上の助言を得た。 国内においては日本近代文学におけるナショナルなものの露頭と隠蔽という点に焦点をしぼり、関連する文献を渉猟した。結果、昨年度からの課題としてとりくんできた十五年戦争期ばかりでなく、その時期の「転向」ないし「翼賛体制」といった歴史的事態に必然的に立ち至る明治以降近代全般のナショナリムズをめぐる歴史動向-たとえば明治43年の大逆事件とその後のいわゆる「大正デモクラシー」との関係など-に留意する必要を強く感じたため、来年度の課題とすべく関連の書類を入手した。 研究の具体的な成果としては、南部女性文学の風景描写に見る地域的特性を考察した論文を完成し、南部文学における社会的貧困に関する論文を執筆した(出版はいずれも来年度)。また現代日本の作家論を戦後ナショナリズムの観点より作成し出版した。
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Research Products
(3 results)