2013 Fiscal Year Annual Research Report
近世フランス文学における自己言及性の諸様態とその射程
Project/Area Number |
21520336
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
石川 知広 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (50145645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 康明 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (70168897)
小川 定義 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (40268967)
藤原 真実 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 教授 (10244401)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | フランス文学 / フランス語 / 自己言及性 / 近世 |
Research Abstract |
交付最終年度に当たるため、全体を有機的に統合する視座から成果報告論文集をまとめた。 研究代表者(石川):人間の条件を語るテクストの重層的な自己言及性の観点から『パンセ』の分析を試みた。著者の死により中断された『パンセ』(護教論)のテクストは、断片化された多数の紙片メモという形態自体から、散乱と異形、廃墟と深淵を運命づけられており、各断章の間には無限の相互参照と自己回帰の構造が現出せざるを得ないことを明らかにした。 研究分担者(大久保):『エセー』における「自己言及」は、一見単なる「自己描写」に類すると思われるものの、それ以上に、より実存的関心を強調するという意味で有用な概念であることを示した。また、『エセー』は作品構想に関する言及を豊富に含み、それを同時的に実践しているという意味で特異な作品といえるが、その事情を著者自身の内的作品表象として捉え、形成途上の作品表象のありさまを取り出すべく努めた。 研究分担者(小川): 言語の構造面に置ける「自己言及性」を考え、文の示すイベントへの言及として、アスペクト辞のRE-を取り上げた。これは、ラテン語の動詞接辞に由来するが、中世期には、その固定性が緩く、遊離し複合時制の助動詞にも付加しえた。後代のフランス語で何故このオプションが消失したかを考察するために、普遍文法の観点から古仏語とイタリア語、そして、現代語の口語におけるRE-の詳細な研究を行った。 研究分担者(藤原):匿名出版が必ずしも珍しくなかった17世紀半ばから18世紀前半のフランスにおいて、書物の中で自らを名乗らぬ作者がその作品との間にどのような関係を持ち得たかを改めて問い直そうと試みた。当時の資料を手掛かりに17-18世紀の匿名出版のありようを明らかにした上で、ロベール・シャールの匿名の問題、特に『宗教についての異議』の徹底的な匿名における作者と作品の関係性を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)